2011年菜の花春闘行動報告 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

春闘に当たって、毎年2月の上旬に国会周辺での行動が取り組まれるのですが、その行動を全労連女性部は「菜の花春闘行動」と呼んでいます。(全労連全体では、「国民要求実現中央行動」です)

今年は2月10日にその行動が取り組まれました。以下、その報告です。


まず、行動のスタートは午前8時30分からの東京駅宣伝行動から。

東京駅丸の内北口に女性部メンバーが集まり、リレートークを行ないながら働く女性向けの労働相談のチラシとティッシュのセットを配りました。リレートークはメモを取れなかったのではっきりとは覚えていないのですが、いろいろな産業、地域から参加した人たちが10人くらい発言していたと思います。


その後、国会の衆院議員面会所に移動し、国会議員要請行動の準備を行ないました。女性国会議員限定で要請を行なうのですが、今回のテーマは民法改正を求める要請と保育所・学童保育所の公的充実を求める要請、そして衆議院比例定数削減に反対する要請でした。比例定数削減を女性部が反対する理由は、女性が比例で出ることが多いが、名簿の下の方になることが多いので、定数が減らされると女性議員が少なくなる恐れがあるからです。実際、女性議員が25%以上を占める国のすべてが、比例代表制か比例代表併用制をとっているそうです。

要請行動に入る前に、男女平等推進委員会事務局長、共産党の塩川鉄也議員が国会情勢報告にいらしてくださいました。

昨年の臨時国会中に、南アフリカの国会議員が郵政についての懇談に来日したそうですが、相手側には女性もいたのに対して日本側は男性だけだったので、そのことについてまず尋ねられたそうです。南アフリカは女性議員が44.5%で世界第3位であり、選挙制度はすべての議員が比例代表制なのだそうです。日本では選挙制度が違うことを説明したそうです。比例定数削減は民意を減らすことであり、国会議員は身を削れ、公務員は身を削れと言うことは、消費税増税への地ならしだということが指摘されました。

男女共同参画基本計画が更新されているそうですが、民法改正は「検討する」に留まっているそうです。

通常国会では、民主党政権の自民党化が鮮明になり、法人税減税の決定、普天間基地県内移設の方針、与謝野氏の入閣などがありました。民主党も自民党も変わりないとわかった中で、共産党は賃上げ政策をワンパッケージで行ない、内需拡大で経済を再建するため、非正規の正規化、派遣法の抜本改正、最低賃金1000円以上、中小企業の振興策を実現していくべきだと主張しているということが述べられました。

「子ども・子育て新システム」については、国と自治体の責任逃れであり、応能負担の制度を応益化し、保育の市場化、規制緩和が進み、保育を「介護保険化」するものだという指摘がされました。結局は待機児童は解決されず、「消えた高齢者」と同じ状況になりかねないと指摘されました。

国会議員要請行動では、3、4人のグループに分かれ、8、9人の議員を訪問しました。私たちのグループは全て秘書の方の対応となりましたが、秘書の方の中にはフレンドリーで、意見交換ができる方もいらっしゃいました。


続いて、厚生労働省前行動が予定されていましたが、要請行動に時間がかかってしまい、最後のシュプレヒコールしか参加できませんでした。

その後は、日比谷野外音楽堂に移動し、「国民要求実現2・10中央集会」が行なわれました。

全労連の大黒議長が主催者挨拶を述べ、財界の身勝手さと菅首相の財界べったりの姿勢が明らかになっており、法人税の5%引き下げ、医療改悪、思いやり予算の維持などが決められる一方、非正規労働者は1800万人となり、失業者は330万人に上っていると述べました。そして、消費税引き上げは内需を冷え込ませるものであり、TPPは一握りの輸出産業のためのものだという指摘がされました。最後に、全ての労働者の賃上げ、社保庁とJALの不当解雇とたたかっていくことが提起されました。

続いてリレートークが行なわれました。

建設首都圏共闘の代表は、仕事がなく、賃金も6~7割に下がっており、公契約条例をそれぞれの市で制定しようと呼びかけました。

航空労連の代表は、JALの不当解雇撤に向けての支援が呼びかけられました。稲盛会長は「雇用確保はできたが、債権者や銀行の反対でできなかった」と述べました。これは判例法理を無視した発言だと指摘されました。そして、物を言えない職場に安全と安心は保てないということが発言されました。

国公労連はの代表は、すべての労働者の賃上げと安定した雇用をと述べ、公務の職場では、政府の一方的な賃下げの阻止、労働基本権のまともな解決、地域主権改革の阻止、不当解雇の撤回が課題となっていると発言しました。

非正規部会は、最低賃金の審議会の委員に数人が立候補しているという報告と、最低賃金1300円を目標に取り組んでいるということでした。

全商連は、国税通則法改正反対と、それは消費税増税と連動していると述べました。景気回復のためには中小業者を元気にすべきだという発言もありました。

農民連は、TPPに参加すれば米の自給率は10%になると予測され、農家が減ると農水路の管理もできなくなり、10%も危惧されていると発言しました。食料主権の確立が必要であり、新潟県では県民共闘会議が設置されたという報告もありました。

ヘルパーネットは、ヘルパーの長時間労働と低賃金は、介護職員処遇改善交付金が出されても改善されておらず、国庫負担で交付金を充実させるべきだと発言されました。また、保険外しは現場の実態を知らない人が考えたものだと批判しました。

最後に、全労連女性部が「子ども・子育て新システム」の問題点についての寸劇を披露しました。

次に、日本共産党の穀田議員が国会報告のためにいらっしゃいました。穀田議員は、民主党が公約を破って自民党化し、民主党は「税と社会保障の一体改革」と言い、年金支給年齢の引き上げと国保保険料引き上げは社会保険の給付の切り下げであり、法人税減税と所得優遇税制の延長により2兆円が減税され、消費税はその穴埋めのためだとしています。TPP参加の検討については、1000を超える自治体が反対決議を挙げており、国民が反対の声を上げるべきだということが述べられました。賃上げこそが経済・政治打開の道であるという指摘もされました。

続けて、シュプレヒコールと集会アピールの採択が行なわれました。

閉会の挨拶では、集会の参加者は約2000人で、総行動全体では約7000人が参加していることが報告されました。


集会後は、それぞれの団体で分かれて昼食休憩を取ったり省庁前行動をした後、銀座パレードが行なわれることになっていましたが、私は会議の予定があったので先に戻らせていただきましたl。パレード後は、日本経団連包囲行動、資生堂パーラー前の資生堂アンフィニ分会支援行動が取り組まれていました。


以上、菜の花春闘行動の報告を終わります。