女性差別撤廃委員会傍聴報告・討論集会 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、直近の情報をご紹介します。

「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。


明日まで!

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009101300166&genre=C4&area=K00

10月15~17日 10~18時 派遣・請負トラブル相談ホットライン
管理職ユニオン関西 075(353)4334



昨日、10月15日夜、日本婦人団体連合会(以下、婦団連を略します)主催の「女性差別撤廃委員会傍聴報告・討論集会」に参加してきました。(以下、女性差別撤廃委員会はCEDAWと略します)埼労連からは私も含めて3名が参加し、全体の参加者は80名だったそうです。

CEDAWの日本報告審議が行なわれたのは7月23日ですが、報告会が10月になったのは、総括所見の政府訳が確定したのがつい最近だったからのようです。政府訳を吟味して日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク版の翻訳が確定したのが10月15日のことだったそうで、今回の報告会に出された資料は完成一歩手前のものだということでした。


集会では、まず、婦団連の代表者から概要の報告がありました。

今回のCEDAWの日本報告審議に際しては、45団体が日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(以下、JNNCと略します)を結成し、84人の代表団を送り出しました。代表団は日本報告審議に先立って、日本における女性差別の状況を伝えるレポートを数多く提出し、7月20日のNGO非公式ブリーフィング、22日のJNNC主催ランチタイムブリーフィングで直接CEDAW委員に報告を行ない、ロビー活動も展開しました。そして、23日の日本報告審議においては、JNNCからの情報を活用して、委員が積極的な質問を行なってくださったそうです。

特に最大の問題として強調されたのが、「女性差別撤廃条約は女性差別撤廃の分野における最も適切かつ広範で法的拘束力を有する国際文書」であり、「条約は宣言ではない。政府には実施責任がある」という指摘です。条約では、固定的性別役割分担意識・態度(ステレオ・タイプ)を否定され、同時に母性を守る社会の役割が明記されています。また、「事実上の平等」、結果の平等を達成することが国家の責任であることが明確にされています。条約に基づいて、締約国には「女性差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求すること」が義務付けられています。審議においては、法律や計画だけを述べる日本政府代表に対して、議長から再三にわたって「措置を行なうべき」ということが発言されたそうです。そして、次回報告の2014年を待たずに2年以内に実施報告を出すべき事項として、差別的な法規定の改正、女性の雇用、意思決定参加における「事実上の平等」のための暫定的特別措置が指定されました。

また、今回は初めて所得税法第56条について委員からの質問があったそうです。これは事業主の配偶者の働き分が経費として認められないという問題で、諸外国では家族従業員でも必要経費を見なすことが一般的だそうです。JNNCに参加した全商連婦人部協議会の代表がランチタイムブリーフィングで委員に対して説明を行なったことによって、審議の場で取り上げられることが実現しました。

次回報告で情報提供すべき事項としては、農村女性を含む全分野の「弱い立場の女性」について詳しく報告することが求められました。

総合して、「総括所見」は60項目、そのうち「懸念と勧告」は48項目が示されました。「懸念と勧告」のほとんどは、前回2003年の22項目の再出だったそうです。

婦団連はJNNCの一員として、ジョイントレポートの一部を担当し、質問リストへの回答を作成し、意見表明にも参加しました。そして、全労連からの参加者が傍聴記録の撮影を担当したり、新婦人国際部からの参加者が翻訳チームの一員として活躍したりしたそうです。翻訳チームは帰国後も政府訳の問題点を修正するJNNC訳の作成に取り組みました。たとえば、”gender equality”を政府は「男女共同参画」と訳していますが、JNNC訳ではより原語の意味をわかりやすく伝える「ジェンダー平等」という訳を用いています。


概要報告の後、記録DVDを見せていただきました。

約10時間分撮影したものを10分ほどに編集したものでしたが、84名のNGOのメンバーが活動している様子はまさに壮観で、日本のNGOの活動がCEDAW委員から高く評価されたのもうなずけると感じました。(総括所見の3項目目に、NGOの出席に感謝する旨が書かれています)


次に、傍聴参加者から個々の分野についての報告が行なわれました。

まず、教育の分野では、教育基本法の改正で男女共学の条文が削除されたこと、家庭科教育の軽視、学力向上の激化、教員免許制度の改定、女性や子どもの貧困による学力格差、ジェンダーバックラッシュ、性教育へのバッシングなどが問題にされたそうです。審議においては、日本政府の固定的性別役割分担概念についての答弁は抽象的であることが指摘され、JNNCの報告に基づいてCEDAW委員が教育の問題点を質問する場面もあったそうです。

雇用の分野では、男女賃金格差、非正規雇用の拡大、間接差別、仕事と生活の両立などについてのレポートをJNNCが提出し、総括所見では雇用管理区分ごとの差別、賃金格差、労働法の保護の不十分さ、妊娠・出産を理由にした解雇、セクハラなどについて指摘されました。間接差別については、CEDAW委員から雇用均等法には間接差別にあたるものとして3つの基準が明記されているが、大変限定的なものであり、見直しを求めるという発言がされたそうです。また、非正規労働者の70%が女性ということがそもそも差別ではないか、妊娠・出産で7割の女性が退職するという数字は強烈であり、変えていかなければならないという指摘もされたそうです。

所得税法第56条の問題については、ジョイントレポート、ロビー活動、ランチタイムブリーフィングなどでCEDAW委員にアピールした結果、審議での質問が実現しました。日本政府の回答は変わらなかったそうですが、国際的に問題が認識されたことは重要なことです。全商連婦人部協議会はCEDAW傍聴をばねにして運動を広げ、地方議会への請願や陳情に取り組み、現在127の自治体が第56条廃止決議や意見書を採択するに至っているそうです。10月8日には決起集会に1400人が集まり、署名は累計70万筆を超えているそうです。11月5日には国会議員要請行動と署名提出行動、国会懇談を予定しているということでした。


翻訳チームに参加した方からは、レポートの英語版作成やNGO非公式ブリーフィングやランチタイムブリーフィングでCEDAW委員から出された質問に答える役割も担い、CEDAW委員がNGOの主張をよく理解し、きちんと審議に反映させてくれているのを実感したという発言がありました。審議では、日本の各省庁からの報告者は制度についてしか語らず、CEDAW委員の具体的な質問には答えられていないという印象を受けたそうです。民法改正について、日本の報告者は世論が変わらないことを改正できない理由として発言しましたが、CEDAW委員から「世論が変わるのを待つのではなく、明らかな条約違反は正すべき」と指摘されたそうです。

日本においてジェンダー平等が進まない理由として、その方はこれまでの日本政府が財界の意向にそって女性施策を続けてきたこと、政治家によるバックラッシュ発言が相次いでいることを挙げました。新政権において女性差別撤廃が進むかどうかはNGOの活動にかかっており、院内集会を開いたり勉強会に招いたりして新人議員に働きかけ、国の政策の基本にジェンダー平等の視点が入るように、立法で良い仕事をしてもらおうということも提案されました。

記録ビデオの撮影を担当された方からは、NGOの力が増したことを実感したということが発言されました。

CEDAWの1回目の審議は情報が届かず、NGOからは4人しか傍聴ができなかったそうですが、2回目には10団体から24人が傍聴し、2003年の3回目にはNGOのネットワークが結成されて23団体57人が傍聴し、今回は45団体84人が傍聴しました。多くのレポートを集めてJNNCとしてまとめて提出し、審議期間中も役割分担して活動し、普段は関わりのない団体が1つにまとまって連帯したという成果がありました。CEDAW委員は事前レポートもよく読みこみ、ブリーフィングでの発言も取り入れ、審議、勧告に活かしていることが感じられたそうです。委員から「別の情報源によれば」と断った発言があると、それはNGOからの情報に基づく発言で、それが多く発言されたそうです。今までの様々な活動が勧告に活かされており、今後はこの勧告を運動に活かしていこうと提起されていました。


最後に質疑応答が行なわれました。

まず、日本のメディアがどのように参加したかという質問については、主要な新聞はJNNCの記者会見に来ていたが、ほとんどが国連常駐の記者だったということです。ですが、CEDAWについて継続的に取り組んでいる記者もいて、2003年の時点よりは詳細な報道がされているということでした。

日本政府の「男女共同参画」という用語については、日本は国内的には「男女共同参画」と言っていても、国外に対しては”gender equality”という言葉を使うといったように使い分けているので用語のおかしさも追及すべきだという意見が出されました。

後期高齢者医療制度や介護の問題についての所見がなかったのかという質問については、22日のブリーフィングでこの問題について質問してくれたCEDAW委員が別の国の審議の担当になってしまったため、日本審議では取り上げられなかったという説明がされました。ただし、勧告54で「弱い立場の女性」についての情報提供が求められているので、ここに高齢女性や介護の問題を含めることができるということでした。

審議後の日本政府の動きはどうかという質問については、9月14日の政府報告会 の官僚の答弁は従来と変わらず、今後の取り組みが問題だということでした。


以上で報告を終わります。




以下、「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。



http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=2009091214
「職場の労使困りごと相談会」 福島県労働委員会
10/18 福島市勤労青少年ホーム、郡山市労働福祉会館


http://www.pref.ehime.jp/tiroui/roudousoudan.htm
7月から月に2回無料労働相談  10/23
愛媛県労働委員会 先着3名
電話 089(912)2996
対象は個人の労働者など
【「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ 推薦】


http://mainichi.jp/area/nara/news/20091008ddlk29040676000c.html

10月22日15時~ 奈良で初の無料労働相談会 奈良県労働委員会
奈良市大森町の県奈良総合庁舎と県保健環境研究センターの2会場
相談時間は30分。事前申し込みが必要。
弁護士や労働組合幹部、民間企業経営者らによる県労働委員が3人1組で、労使間のトラブルなどの相談に応じる。
問い合わせは、県労働委員会事務局(0742-23-3530)



こちらもよろしくお願いします。8月31日から福岡高裁で控訴審が始まりました。


緊急報告「爪ケアを考える北九州の会」からのアピール

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10310539150.html



毎日新聞からの情報です。


http://mainichi.jp/life/job/news/20091012ddm013100026000c.html


11月21日午前10時~午後4時

東京弁護士会の女性弁護士が「セクハラ被害110番」

03・3503・8671、当日のみ