介護施設、増床計画の45%止まり(東京新聞、毎日新聞より) | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、労働相談などの情報のお知らせです。

「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。


http://www.pref.ehime.jp/tiroui/roudousoudan.htm
7月から月に2回無料労働相談  9/11、25 10/9、23
愛媛県労働委員会 先着3名
電話 089(912)2996
対象は個人の労働者など
【「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ 推薦】



http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/kanagawa/090827/kng0908271209001-n1.htm

9/10-12 「働く人の電話相談室」開設 日本産業カウンセラー協会
午前10時~午後10時 0120-583358 全国共通


http://wbs-news.net/article/31370564.html
9/21 和歌山なんでも相談村 カレー炊き出しも 和歌山城の西の丸広場
生きるための「なんでも相談村」実行委員会事務局 073-436-3520


http://www.pref.fukuoka.lg.jp/d09/kaikoyatoidomesyuutyuusoudankai.html

9/30 (水)「解雇・雇止め集中相談会」 福岡 北九州 筑後 筑豊
無料・弁護士相談有り 予約不要 9時~20時 労働者支援事務所


http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=29383&categoryid=1

10/4 「第2回豊橋1日派遣村相談会」 ポルトガル語やスペイン語通訳も
豊橋公園(雨天 市民センターカリオンビル)
問い合せ 本部事務局の佐野さん=電話0532(52)1511



よるの黒茶様からも情報をいただきました。


守谷 反貧困・派遣村 かけこみ大相談会
茨城県守谷市
9月27日(日)10-15時
守谷駅中央東口前・明治神宮裏の公園
生活・労働相談(健康相談も)
ポルトガル語対応あり
後援:守谷市
主催:反貧困・かけこみ大相談会実行委員会
連絡先:県南ローカルユニオン内(谷口まで)
029-838-5930



こちらもよろしくお願いします。8月31日から福岡高裁で控訴審が始まりました。


緊急報告「爪ケアを考える北九州の会」からのアピール

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10310539150.html


例の「気になっていること 」については引き続き情報収集中です。定期大会が終わって時間が取れるようになったらまとめたエントリーをあげたいと思います。



さて。今日の東京新聞が一面トップで報道しているのですが、全国の自治体が2006~2008年度に増やす計画を立てていた介護施設が、計画の45%しか増設されていないということが厚生労働省の集計で分かったそうです。詳しくは記事を引用してご紹介します。引用部分は青で表記します。



介護施設  増床、計画の45%止まり

06~08年度厚労相集計  東京、33%だけ

東京新聞  2009年9月11日(1面)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009091102000084.html


 全国の自治体が二〇〇六~〇八年度に、特別養護老人ホームや介護型療養病床などの介護施設を約十二万四千床増やす計画を立てていたが、実際は約五万六千床にとどまり、計画達成率は45%だったことが、厚生労働省の集計で十日、分かった。厚労省は、計画策定後に一一年度末までの廃止が決まった介護療養病床を除いて計算すると、達成率は71%としている。


 整備状況の詳しい集計は今回が初めて。療養病床の廃止が達成率を押し下げたとみられるが、特養待機者が四十万人近いとされるなど介護施設の不足は深刻。民主党は待機者の解消などを掲げており、新政権の対応が注目される。

 ほかの集計対象は老人保健施設、認知症高齢者グループホームと介護型有料老人ホームなど。

 計画通りかそれ以上に増加したのは青森、秋田、群馬、福井の各県。山口、徳島、香川、愛媛、宮崎、鹿児島各県は、増加させる計画だったが実際は減少となった。

 療養病床を除くと、京都府、東京都、千葉、滋賀、神奈川各県など、首都圏や近畿圏での達成率が低かった。これらの都府県は「施設の収支が成り立ちにくい」「人材確保が難しい」「地価が高い」などとしており、厚労省は「整備の遅れた都市部をどうするかが課題だ」としている。

 また、〇五年度までの整備分も合わせると、〇九年三月時点で約百九万五千床の計画に対し、実際は93%相当の約百一万八千床だった。

 介護の必要性が高い要介護2~5の高齢者が、施設・居住系サービスを利用している割合は全国平均で37%。通所介護や訪問介護などの在宅サービスの利用は、当初の計画を上回った。

 市町村や都道府県は三年ごとの計画で、必要な介護サービスの量や提供可能なサービス量などを把握してサービスの基盤整備を進めている。



東京新聞のサイト上には、介護施設についての解説と首都圏の介護施設準備状況の表(こちらは紙面にも)も掲載されています。


ところで、毎日新聞の同じ問題を取り上げているのですが、計画達成率の数字が少し違います。これは介護型療養病床分を含めるかどうかの違いで、東京新聞は計画に介護型療養病床分を含めた達成率を、毎日新聞は介護型療養病床分を含めない達成率をそれぞれ前面に出しているようです。双方とも、介護型療養病床分を含めるかどうかで違いが出るということは明記しています。


毎日新聞の記事は次のようになっています。



介護施設:整備進まず 東京は達成率44%  06~08年度

毎日新聞  2009年9月11日

http://mainichi.jp/life/today/news/20090911ddm041100065000c.html


 厚生労働省は10日、自治体が06~08年度に計画した介護保険施設などの整備状況を発表した。同施設と居住系サービスの増床実績(介護療養病床を除く)は約8・1万床で、計画総数約11・5万床の71%にとどまった。首都圏、近畿圏で軒並み低く、大都市圏で整備が進んでいないことが鮮明になった。

 同省が都道府県からの報告を初めて公表した。計画の達成率が低いのは、京都39%▽東京44%▽千葉49%▽滋賀53%--など。達成したのは12県で、鹿児島184%▽愛媛、沖縄167%▽青森157%--の順。

 達成率が低い都府県は理由について、人材や土地の確保が難しいことや、基盤整備の補助が不十分といった点を挙げたという。03、06年度に介護報酬が引き下げられたことも影響したとみられる。05年度までを含む累計数でみると、計画の約95・7万床に対して実績は約91・6万床で、達成率は96%となる。

 施設別では、特別養護老人ホーム約3・7万床(計画約5・1万床、達成率73%)▽介護老人保健施設約1・7万床(同約2・7万床、62%)▽グループホーム約2・3万床(同約2・4万床、98%)▽介護型有料老人ホーム約0・4万床(同約1・4万床、31%)--だった。

 なお、計画策定段階で医療療養病床などへの転換方針の周知が不十分だった介護療養病床を含めると、約12・4万床の計画に対し、実績は約5・6万床で、達成率は45%になる。【佐藤浩】



上記の記事のように、介護型療養病床は2011年度には廃止されることになっており、今ある分は医療療養病床や老人保健施設への転換をすすめるという方針が出されています。

 なので、当然その後介護型療養病床を増やすような対策は取られていないので、これまでの計画の達成率を評価するのに介護型療養病床分は含めないというのは理にかなっています。

 ですが、病気の症状が安定して退院することになったけれど在宅での介護は難しいという高齢者の受け入れ先として介護型療養病床がこれからも必要であるという考え方もあり、介護型療養病床廃止の方針は撤回するべきだという意見もあります。そうした考え方を支持するならば、東京新聞のように介護型療養病床分も含めて達成率を評価するという姿勢もうなずけます。

 また、そもそも計画を修正できていないのだから、当初の計画のままで達成率を評価するのが当然という考え方もあるでしょう。


 どちらにせよ言えるのは、達成率は100%に達しておらず、待機者が約40万人存在するという深刻な状況には変わりはないということでしょう。

 首都圏において達成率が低い理由も明らかにされています。他産業と比べて見劣りしない賃金が保障できなければ介護施設に人は集まりませんし、施設をつくるための公的な補助も必要でしょう。施設が安定的に継続するためには、経営の基盤を支えるための介護報酬引き上げも必要です。

 政権交代によって、介護分野への対策もこれまでよりは現場の必要性に即したものになると期待していますが、早急な着手を求めたいと思います。