介護従事者の待遇改善は急務です! | 労働組合ってなにするところ?

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2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

今日は久しぶりに医療・介護情報キャリアブレインニュースをご紹介します。

引用部分は青で表記します。


「介護従事者の処遇改善につながる仕組みを」

2008/05/29 19:44 キャリアブレイン

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16292.html


 介護報酬の2度にわたる引き下げで、人材の流出が深刻化し、必要最低限のサービス提供すら困難になっているとして、ホームヘルパーやケアマネジャーなどで組織する「介護・家政職ユニオン(全港湾介護家政職支部)」などが5月29日、介護労働者の待遇に関する要望書を舛添要一厚生労働相にあてて提出した。直後に行われた厚労省老健局との交渉では、同ユニオンが「介護報酬を引き上げ、それが確実に介護従事者の処遇改善に結び付くシステムを国として構築すべきだ」と要求した。

 同ユニオンが説明を求めたヘルパーの平均時給や、ヘルパーの賃金が介護報酬全体に占める比率について、厚労省老健局は平均時給が1297円で、比率が83.5%と回答した。これについて、同ユニオンは「わたしたちは、ヘルパー賃金の比率を41.7%と把握している。83.5%という数値は、事業所の管理者の賃金も含めたもので、国は人件費を恣意(しい)的に高く見せている」と反論。その上で、「介護従事者の処遇改善が求められているのだから、現場で働くヘルパーの賃金比率をきちんと把握すべきではないか」と追及した。

 また、今通常国会で成立した「介護従事者処遇改善法」の内容の具体化について、「検討する」などとあいまいな姿勢に終始している厚労省老健局に対し、同ユニオンは「低い報酬で離職率が高いヘルパーの実態を改め、人材確保につなげるために、国会が全会一致で法律を制定した。介護報酬(賃金)の引き上げなど、ヘルパーの労働条件を改善して充実した仕事を行えるようにすることが、利用者へのサービス向上につながる。この視点を明確にする必要があるのではないか」と強調した。

 交渉は介護保険制度の在り方にも及び、介護従事者の処遇改善は「個別の労使の問題に関係する」などとする厚労省老健局の見解について、同ユニオンは「高齢化の進展で国が必要だと判断して、国民から保険料を取る形で制度をつくったのではないか。しかし、介護現場では重労働にもかかわらず、1297円という低い賃金に抑えられ、ヘルパーが続けられなくなっているという問題が起きている。個別労使の問題ではなく、監督官庁の責任だ」と厳しく批判。「舛添厚労相が公式の場で『介護報酬の引き上げが必要である』と述べているのだから、実務者レベルで介護従事者の賃金をアップする仕組みづくりに誠意を持って取り組むべき」と要求した。

 交渉に参加したヘルパーは「介護職だけでは生活できず、他の仕事と掛け持ちしている人も少なくない。介護の専門職に見合った収入が得られるようにしてほしい」と語り、現状のままでは「介護崩壊」につながると訴えた。


昨日、とあるきっかけから介護福祉士1年目の年収を試算してみたのですが、ボーナス4ヶ月分で月4回夜勤、残業はなしとして計算して、約310万円でした。生活するのにぎりぎりの額です。厚生労働省はヘルパーの平均時給を1,297円としていますが、非正規雇用のヘルパーに限定して平均を算定すればもっと低い金額になるでしょう。時給1,297円にしても、フルタイムで働いたとしても年収300万円に届かない額です。それでも介護という仕事に誇りを持ってがんばっている人達がたくさんいますが、増加する介護の需要に応えるために必要とされている人員には足りず、人手不足による過密労働のために介護職員には疲労が蓄積しています。

私達の労働組合でも介護職員と医科職員の間の給与格差の解消を長年要求していますが、いくら経費削減などの努力をして黒字を生み出しても、「介護報酬の構造上、大幅な収入増は見込めない」との理由で要求を退けられてしまうのです。介護報酬の引き上げが介護職員の待遇改善につながる仕組みづくりが是非とも必要です。

今回の取り組みのように、労働組合が中心となって現場の声を行政にぶつけていくことは、これからもどんどんやっていくべきだと思います。