効率化のためのポイント(2) | 特許翻訳 A to Z

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1992年5月から、フリーランスで特許翻訳者をしています。

前回、「やりたいことを明確化する」ことの重要性を示しました。

翻訳作業のスピードを上げたい、翻訳の品質を良くしたいという程度では、何もないのと同じです。

そうではなく、スピードを上げるにしても、「キーボードで文字を入力する」あるいは「仮名漢字変換をする」といった具合に細分化して考えることが重要なのですが、じつは、これでもまだ大きすぎるのです。

たとえば、日本語文字入力システムには、代表的なものとしてマイクロソフトのMS-IMEとジャストシステムのATOKがあります。最近だと、google日本語入力を好む人もいるかもしれません。

MS-IMEを使っている人は、ATOKに変更するだけで入力効率が大幅に上がる可能性があり、これもスピードアップという意味では、問題解決の手段のひとつでしょう。

どこまで自分仕様に整えるか、あるいはハードウェア的な諸条件にもよりますが、場合によっては、MS-IMEとATOKで効率に2倍以上の差が出るほどの違いがあります。

ただ、職場のパソコンなど、勝手に環境を変更できないというケースも多いはず。
そういう人にとって、「MS-IMEをATOKに変更する」という選択肢は、ないのも同然です。

この場合、「やりたいこと」を、たとえば「MS-IMEでの仮名漢字変換」というところまで落とし込んで考える必要があるわけです。
「文字入力のスピードアップ」では、まだ大きすぎることを、おわかり頂けたでしょうか。

その上で、たとえば

(1) 入力する文書の種類(科学技術用語の多い文書、法律文書、会議資料など)
(2) 入力する文書における、同じ語句や表現の出現頻度

といった前提条件まで洗い出して始めて、「やりたいこと」が明確になったと言えるでしょう。


コンピューターは、「言われたこと」を高速かつ確実にこなすのは得意ですが、そのときどきで何かを判断するのは、苦手です。
判断のできる人間にとっては「1つの作業」でも、同じことをコンピューターに1回でやらせようとすると無理が生じることも、多いのです。

裏を返すと、徹底的に細かく割って考え、それぞれ「専用で」複数回の処理を繰り返すほうが、コンピューターには合っています。
だからこそ、やりたいこと=課題を明確化することが、重要になってくるのです。