列車と電車は何が違う? | 特許翻訳 A to Z

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1992年5月から、フリーランスで特許翻訳者をしています。

東京、新宿、三鷹、八王子などを走っている、中央本線。

駅にとまらない車両が通過するときのアナウンスには、2種類あります。

 

ひとつは、「電車が通過いたします」。
もうひとつは、「列車が通過いたします」。

 

そう。

列車と電車が、使いわけられているのです。


具体的には、特急「かいじ」や「あずさ」が通過するときは、列車。

特快などオレンジ色の中央線車両のときは、電車。

 

アナウンスに差があることには前々から気づいていたのですが、「何が」違うのか調べたことはなく・・・。

そのままになっておりました。

 

 

そこできちんと調べてみると、[列車」「電車」という言葉の使いわけには、車両自体の違いを示す場合と、運転系統の違いを示す場合があるようです。

車両の違いは簡単で、架線から電力を得ているのが電車、それに気動車や機関車などを含めて線路を走る車両をまとめて列車というわけかたです。


かたや運転系統のほうは、非常に複雑でした。

JRの複々線つまり二組の複線軌道が敷設された線路の区分に、列車線と電車線というものがあります。
列車線には、主に長距離特急/急行、中距離快速/普通列車、貨物列車などが走り、電車線には主に近距離の快速や各駅停車が走るとか。
それ以外にも、ダイヤの作り方をはじめとして、かなり細かく決められていました。
 

そして列車線を走行する車両が「列車」、電車線を走行する車両が「電車」と呼ばれています。

中央線のアナウンスは、この違いによるものでした。

たとえば東京-横浜間では、東海道線が「列車」で京浜東北線が「電車」です。
中央線は列車と電車が同じ線路を走行しますが、東海道線と京浜東北線は線路が別でホームも離れているため、いままで両者のアナウンスに差があるかどうかなんて気にもとめませんでした。
でも、もしかしたら、「列車がまいります」と「電車がまいります」なのかも・・・。

なお、資料によればJRで列車と電車が共存するのは関西の一部地域と首都圏だけらしいので、列車と電車のアナウンスが両方とも流れるのは、限られたエリアですね。


Wikipedia「電車線・列車線」やニコニコ大百科「電車と列車の違いとは」に具体的な路線が掲載されています。

ところで。
調べながら、仮にこれが翻訳原文に出てきたら、どう対処するか?と頭の片隅で考えました。
さすがに特許公報でこの「列車線」と「電車線」が一緒に使われている例は見当たりませんが、上記Wikipediaの説明文には、当然ながら両方含まれます。

 

電車線(でんしゃせん)・列車線(れっしゃせん)とは、旧日本国有鉄道(国鉄)とJR路線の複々線区間における線路区分の名称である。

 

名称ですから、単純にローマ字で「Densha sen」と「Ressha sen」とする?
あるいは・・・??

ちなみにWikipediaには中国語の対応ページが存在し、そこには「電車線列車線是日本鐵路用語」とありました。

なるほど。
日本のカタカナ語さながらの対応ではありますが、こういうときに漢字だけの中国語は好都合です。

 

■関連記事

意外と難しい、列車と電車の訳

 

 

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参考文献:

交通新聞社『昭和の鉄道』、『鉄道ダイヤ情報』、『高架鉄道と東京駅』、『東京の鉄道ネットワークはこうつくられた』ほか。

 


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