かな漢字変換を利用して、異言語の文字を覚える | 特許翻訳 A to Z

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もう何年も前になりますが、あるとき、ロシア語和訳の必要性が生じました。
当時、ロシア語は、完全に未知状態。

少なくとも文字には馴染みがあったフランス語やイタリア語とは異なり、アルファベットすらわかりません。

辞書を引こうにも、どのあたりに載っているのかすら、見当もつかないということです。

この状態から1週間で、ほぼ理解できたのですが、それはパソコンのおかげでした。
もちろん通常の語学学習と同じプロセスを踏んでいては、いつになったら読めるのか、わからない。
そこで・・・

語学学習の常識を捨ててみる→パソコンを使う前提で、工夫をしたのです。

 

 


日本で販売されているパソコンには、ローマ字またはひらがなで入力した文字を漢字に変換するための仕組みが搭載されています。
ATOKやMS-IMEに代表される、「かな漢字変換」システムです。

かな漢字変換システムでは、標準の変換辞書に加えて、新たな単語を登録できるようになっています。

まずはこれを使って、アルファベットも読めないロシア語の辞書を引きやすくしてみました。
具体的には、最初にアルファベットの大文字と小文字のデータを用意します。

私はインターネット上にあるものをコピーして使いましたが、ロシア語のキリル文字はWordの「記号と特殊文字」にも含まれるため、自分で入力してもよいでしょう。

そして文字の読み(発音)が書かれた資料を参考に、「1文字ずつ」単語登録します。

もちろん、仮名漢字変換に登録するという意味です。
たとえば、дに「でー」、яに「やー」といった具合ですね。

目的は辞書を引きやすくすることですから、必ずしも厳密に発音どおりでなくても構いません。
「トビョールドゥィ・ズナーク」と読む「ъ」を、「どびょーる」と登録してもOKです。

 

 

 

全部の文字を登録したら、次はアルファベットと読みが縦に並んだ一覧を作り、それを頼りにロシア語の文章を「写本」します。
 

つまり、紙の上の原文を見ながら、同じ文章をパソコン上で入力していくわけです。
 

一覧は横ではなく縦だということが、重要です。


いうまでもなく、この時点でも「単語の」発音はわかりません。
意味も、わかりません。
純粋に、文字を追いかけているだけです。

たとえばロシア語で3月を示す単語「март」は「マールト」と発音しますが、これを「エム・アー・エル・テー」と入力します。
はじめのうちは1文字ずつ一覧で確認しながらだったのに、1時間もすると、よく出てくる文字は自然に読みを覚えました。


加えて「写本」の際にアルファベットと読みが縦に並んだ一覧を使っていますので、入力しているうちに、文字の並び順も覚えます。

 

これで、辞書が引けるようになりました。

 

 

 

記憶力の高い人であれば、わざわざ入力しなくても1時間くらいあれば文字の並びや音などは覚えられるのかもしれません。
でも、私には到底そんなことはできそうになく、他の方法を考えました。

文字すら知らない未知言語を読解するにあたって、「できない」と思ってしまったら、その時点でできないことが確定します。

でも、どうすればできるかと考えれば、道は意外とあるものなのですよね。

 

ロシア語では、このあともコンピューターに大いに働いてもらい、無事に和訳ができました。
最後まで解決できなかった疑問は、専門図書館の職員に手伝ってもらったため、100%自力解決ではないのですが。
とにかく、「どうすればできるか」という視点は、不可能を可能にしてくれると思っています。