真選組屯所に朝がやってきた

いつも落ち着いている陽がなぜかそわそわとしている

それを見かねた山崎が彼女に駆け寄った



「さっきからそわそわしてるみたいだけど大丈夫・・・?」


「あ、退くん! えと…その、きょ、今日は総悟君のお姉さんが来るでしょ?だから緊張しちゃって」


彼女は顔を少し赤くしてペロッと舌を出す

そんな行動に山崎は彼女よりも顔を赤くした


「そ、そっかそっか。でも陽なら心配することないよ。じゃっ」


早口にそう述べるとダダダダッと廊下を走って行ってしまった



「あんなに顔赤くして…熱でもあるのかなぁ?」


鈍感な彼女は気づかない。

陽は疑問を抱きながらも、総悟の姉を迎えるため門の前へ向かった


すると、すでに1人の女性が紙切れと門を見比べながら立っている

堪りかねた陽は声をかけた


「あのぉ~・・・なにか御用で?」


声はかけると女性は驚いたような顔をしたがすぐにニッコリと笑った


「貴女が天宮陽さん?」


「は、はい。たしかにそうですけど・・・」


「私は沖田ミツバ。そーちゃんから貴女の話をたくさん聞かせてもらったわ」


そう言って着物の袖口は口元に持っていき、微笑む女性・・・・



「そ、総悟君のお姉さんですか・・・?」


「えぇ、貴女に会うのがとても楽しみでした」


「えと、その、と、とりあえず中にどうぞ」


陽は緊張しながらミツバを中に通した

廊下を歩きながらも、たくさんの隊士がミツバにあいさつをしている

応接間にたどり着き、2人は向かい合って話していた


「ミツバさんはお綺麗ですね」


「あら、ミツバさんなんて止してくださいな。それに、陽ちゃんの方がとても綺麗よ?」


「わ、私が綺麗だなんてとんでもないっ、ミツバちゃんは本当に総悟君にそっくりで・・・」


ミツバと総悟はよく似ている

亜麻色のサラサラと流れる髪に、紅色の綺麗な瞳・・・

同性までも惹かれてしまいそうな程綺麗だった


「私ね、お嫁に来るために江戸に来たの」


ポツリと呟く彼女の瞳はどこかさびしげだった

聞くところによるともう長くはないらしい


「ミツバちゃんは・・・土方さんの事が・・・・」


「えぇ、好きだったわ。でもあの人が私の幸せを願って突き放してくれたから、後悔はしてないのよ?」


「後、悔か・・・・・」


「陽ちゃんはお嫁には行かないの?」


「私は・・・・「姉上っ!!!」


陽の言葉を遮るように総悟の声が響いた


「お久しぶりです、姉上。遠路遥々、江戸までのご足労ご苦労様でした!!」


「ふふっ、大きくなったわね、そーちゃん」


「姐さんのおかげで毎日3食、ちゃんと食べれてます!!あ、それとこの人が・・・」


「天宮、陽ちゃんでしょ?」


「はい!」


「そーちゃんがよっぽど貴女を気に入ったのね。どう?お嫁にこないかしら?」


「私が総悟君の?!」


「僕、姐さんが来てくれたら嬉しいっす!!」


「ちょ、総悟くんまで~~!」





・・・・・・・・・・・陽がミツバと話したのはこれで最後だった

結婚相手は隊士の親族である彼女を嫁に向かい入れ、

裏から真選組を潰す気だったのだ

数日後、ミツバは総悟に看取られながら息を引き取った・・・・・・


その時、陽は生まれ故郷、長州へと足を運んでいた


「こ、これ姐さんですかィ・・・?」


「うん」


1枚の写真を手に冷や汗を流す総悟を陽はニコニコとみていた・・・・



遡ること10分前、陽の幼少期を知りたいとなり、土方、総悟、山崎が

女中部屋兼彼女の部屋に来ていた

残念ながら近藤はストー・・・お妙の護衛の為、いない



部屋に入るなり、陽は押入れに体を突っ込み四角い銀色の缶を取り出した


「これが写真か?」


「随分と多いですねぇ」


「あ、見られちゃいけないのもあるんで・・・」



ガサガサと缶をあさっていたが、小さい頃の写真を見つけたのか笑みを零した

すると総悟が陽の肩に顎をかけて覗き込んだ



・・・・・・・・・のだが




彼が目にした写真は、世間的に言う美少女が少年の銀色の髪の毛をひっつかんでいる画・・・


「こ、これ・・・」


「これが私で、こっちが銀時^^」


ひきつった笑顔の総悟に気づき、土方と山崎も陽の手元を覗く


「これ・・・万事屋か・・・?」


「旦那、ご愁傷様です・・・」



総悟は顎を離し、おっかねぇなぁ。と呟きながら缶をあさる

あまりにも量が多いのでランダムに写真をとった


それに写っていたのは、男が4人と女が1人

だが全員、着ている服には所々血がついている

そして手には刀・・・・


「戦場・・・・・・?」


ボソリと言った総悟の声が聞こえたのか、陽はバッと写真を取り上げた


「姐さん・・?」


困惑の顔で彼女を見つめる総悟に陽は目を伏せた


「ご、ごめん・・・。その、いつかは見せるから・・・」



「・・・・・・・・・・・・・わかりやした」



間もなく、ボコボコになった近藤が姿を現したのでお開きとなった











翌朝、総悟の体調はすっかりよくなっていた


「昨日はご苦労だったな」


朝食を配る陽に鉢合わせた土方は軽く頭を下げた

すると彼女は顔の前でブンブンと手を振り、


「い、いえっ。私も弟ができたみたいで嬉しかったんで・・・」


「そうか、ならよかった」



血は繋がっていなくとも、自分の事を本当の姉のように慕ってくれる

総悟が大好きだった

昨日の「お姉ちゃん」を頭の中でリピートし、陽は目を細めた


「姐さん!!!」


「そーくん!」


配り終わったのを見計らうように、戸口からひょっこりと総悟の顔が覗く

総悟はトコトコと陽に近づきニッコリと笑った


「昨日は迷惑かけてすいやせん」


「気にしないでいいよ? 私も嬉しかった」


なぜか喜ぶ陽に総悟は首をかしげる


「嬉しかった?」


「うん。私ね、兄弟が居ないから年下の子の面倒をみてあげるっていうのが嬉しかった」


「姐さんは一人っ子なんですかィ。さぞかし大切に育てられたんでしょうねィ」


「ふふっ、実はそうでもないのよ?」



なんて他愛もない話をしながら2人は向かい合って朝食をとり始める

周りには、土方、近藤、山崎とお決まりのメンバー



「姐さんは子供の時どんなんだったんでィ?」


「あ、確かに気になりますね。陽の小っちゃい頃」


「きっと真面目で大人しかったんだろ!!」


「案外じゃじゃ馬だったりしてな」


4人が思い思いの事を言い、笑みを零す


「そんなに気になるんですかぁ?」


「うん。誰のでも子供の頃は気になるもんだよ」


「退君まで~・・・。・・・・じゃぁあとで私の部屋に来てくださいね?」