よろこびを共に創る!
相模の風THEめをとのダンナ
いしはらとしひろです。
ギターを、そして楽器を弾かずに上手くなる?
ええ、正確に言いますと、楽器を持った直接の演奏練習以外にも、上達につながる道はたくさんあります、ということなのです。
今日のテーマは脱力。
前回は音楽をたくさん聴こう、でしたが、今度は体のこと。
この脱力、楽器演奏に限らず、スポーツや日常生活にも通ずる、かなり大事なことだと思います。
みんなが思ってるほど、力っていらないのですよ。ギター演奏には。ついでに言うと日常のあれこれにも。
もちろん心の動きにも。
もうずいぶん前なのですが、ある人のライブを見ました。
アコースティックギターの弾き語りの人でした。
彼は「ギターも力一杯弾くことが、お客さんへの誠意だと思ってます」
みたいなことを言って、その通り力いっぱい弾いていました。
それはもうひどかった。
力いっぱい弾くものだから、過入力で和音が歪んでしまい、もはやどんな音が出ているのかわからない。音楽の体をなしていない。
どう聴いても良い音色とは言えない。
音量はあるのだけれど、全然前へ抜けていかない。届かない音。
ごめんね、名も知らぬ10数年前に見たあなた。
基本、誰かを悪くいうようなことは書かないようにしているんだけど、力を入れすぎてわけわかんなくなっちゃった演奏、ということを思うと、いつもあなたのあれを思い浮かべてしまうのです。
これは極端な例ですけれど、ここまで分かりやすい例はないなあ。
これ以前から脱力奏法派だったけれど、確信を持てた。
ギターの、楽器の演奏に必要以上の力はいらない。
むしろ演奏の邪魔。
どれだけ脱力して弾けるか。
ギリギリまで力を抜いた弱い音、というのが、どういうものかを知る必要がありますね。
右手(ギターの弾き手)にピックを持って6弦にあて、そのまま力を抜いて1弦まで手を下ろします。ジャラン♪
引力だけで手を振り下ろす感覚です。指弾きの人は親指を当ててやってみてくださいね。
自分の腕も指先もタコさんだ、あるいはクラゲさんだ、オレはグニャグニャの軟体動物なのだとイメージすると、より力が抜けます。
これでも音は出ますね。
これが、最小限の力で弾く音です。
最小限の力でも、意外と音量あるな、と思いませんか?
それともにごった音になってしまったかな。
ちなみに音量のものすごく小さい音=ピアニシモをキレイな音で弾くのには、むしろある程度の力がいります。「小さなキレイな出力」をコントロールするのは、最小限の力では少々難しい。
話を戻して。
力を抜き切って、ほぼ引力のみで6弦から1弦に向けてじゃらんと弾いて、キレイな音色で出ているならば、問題なし。
もし濁った音、あるいは途中で弦に引っかかって音が止まってしまう場合。
これは
・脱力しきれていない
・手首が硬い
・ピック、または指が弦に当たる角度がよろしくない
などの理由が考えられます。
手を6弦に当てて、ただ力を抜いて引力に任せて手を下ろす。
それで出る音が、最小限の力で出る音、言い換えれば脱力奏法です。
今度は力を込めて、自分の考える力いっぱいの音で6本の弦をジャーンと弾いてください。
多分、ジャーンとは
鳴らないのではないでしょうか?
なにかグアォーンとかドワゥーンとか、にごった響きになりませんでしたか?
もし、マックスの力で弾いても、これはこれでいい音だよ、という方は、手首が柔らかく使えていて、腕の振りにキレがあって、ピックや指が良い角度で弦に当たっているということです。
素晴らしい!
でも音量の基準にすべきは、脱力で弾いた音の方。
そして、この音量でキレイな音が出るようになったら、少しずつ音量を上げていく。
楽器の場合、指が早く動くとか、良いフレーズが吹ける以前に、まずギターから、楽器からどんな音が出ているか、良い音色で出ているか、が問題じゃないですか。
もちろん楽器本体の音色の良し悪しもありますけれど、やっぱり奏者の問題が9割。
良い音色を出すには、脱力が基本です。
ちなみに、よく演奏中に弦を切る人がいますが、ギター本体に問題がなければ、弾く方の手に、あるいは体全体に力が入り過ぎている場合が多いです。あとピックの当たる角度かな。
脱力、と言われて素直に脱力できる人もいれば、力を抜くために、また大量の力が必要な人もいます。
体の脱力ができると、心も相当に緩みますよ。
色々使える脱力、なのです。
あなたの役に立ったら嬉しいです。
ギターを弾かずに上手くなる
その1はこちら
【相模の風THEめをとのお知らせ】