未来のボクたちへ レコーディング振り返り日記~その4  | 音楽でよろこびの風を

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世間を騒がす夫婦音楽ユニット 相模の風THEめをと風雲録

今回の相模の風THEめをと CDアルバム、「希望のひまわりは旅をする」レコーディング振り返り日記。

今回取り上げるのは 2曲目の「未来のボクたちへ」。

これはかみさん 風来直 が2012年に作った曲。
東北大震災後、ぼくらも『東北応援行商ライブ」と言う企画イベントを開催しつつ活動。
微力ながら 数少ないながら東北へも足を運び、色々な方に会い、色々な光景を見て、当然のことながら、色々と考えることがありました。
そんな中から生まれた、相模の風THEめをとの楽曲がいくつかあります。
前作アルバム「ありがとう そしてここから」では「ありがとう」や「青と青」など。
この「未来のボクたちへ」もそうなのです。

未来のボクたちへ 試聴

東北大震災もそうですが、このような大きな災害や社会的に大きな事件などを取り上げて歌にするのは、色々な意味で大変だし、難しいです。
僕らは直接的な意味での被害はほとんどない。この震災で言えば、津波の被害に遭った方や原発の影響で避難生活を未だに続けている方の本当の痛みは分からない。
でも、こんな僕らでも感じることや考えることはあります。

僕らがこういうことを作品として取り上げる場合、自分たちに課していることが一つ二つあります。
・お涙頂戴には絶対にしない。
・人の痛みは分からないけれど、自分が感じている(小さいかもしれないけれど)痛みを「表現として成立するレベルまで」そぎ落とす。向かい合う。

さて、それをどうサウンドに反映させるのか。
どうすればそう言うものが音に込められるのか。

答えが見つかりそうもない難題。
なので、ありのままで。
今回のレコーディングは原則 アコースティックギターと歌、僕ら自身の演奏するパーカッションで創り上げる、と言うのを基本方針にしています。
ライブでやっている音を、ブラッシュアップしていくのがよい。
今ライブでやっているサウンドに、気持ちはこもっているだろう、と言う自分たちに都合の良い前提ではありますが。
ただ、長くライブでやっていくと、自然にサウンドの方向が定まっていきます。
曲自身が求めている方向へ向いていくのです。
それは僕が思う方向、ではなく、めをとが思う方向、でもなく。
曲の方が「あーしてくれよ。こーしてくれよ」と語りかけてくるのです。
ライブや練習を重ねていく中で 曲が転がる方向を見定める感性。

それが、今回の完成した音源にそのまま反映されていると思います。
もちろん恣意的にアレンジしている部分だってあるのですが、多くの部分は 「曲に導かれた」という気がします。

あえて意識してやった部分は。
ようく耳を澄ませて聴いて頂けると、メインのアコースティックギターの後ろで エレクトリックギターがうっすら鳴っているのが分かると思います。
原則 アコースティックギターのみ、ここで破ってしまいましたぁ。ふはは(もじもじ笑)。
このエレクトリックギターの役割は調味料。
「アコースティックギターと歌を落ち着かせるためのクッション」として録音しました。
これは録音物としての完成度を考えた末の僕の判断です。

難しいんですよね。
今回のように「生っぽさ」を前面に出したい、でも、録音物としての完成度も、当然求めたい。
この曲の場合は、最終的には「録音物の完成度」を、少しだけ優先しました。
エレクトリックギターを入れることで、より広がりが出たような気がしました。

また、かみさんの声を録音するときにも気を使いました。
人の声は人の数だけ、人それぞれ。色々な声質の方がいます。人それぞれの「特性」があります。
彼女の声も独特の性質があります。
女性にしては低いところにピークがある声なので、それを生かすのか、別なアプローチをするのか。
この曲に関しては、彼女の声の特性とは違う部分を強調することにして、「曲の方に合わせる」ことにしました。
具体的に言うと、低音成分をややカットして、ほんの声の温度を下げました。
その方が、この曲を表現するのに、より生きる、と言う判断です。

録音って、正解があるわけではないから、ホント難しい。そして楽しい。

最初に書いたことに戻ります。
この曲、「原発後の僕達」に対する問いかけの歌でもあります。
もちろんそう言うテーマを外して、普通の歌、としても聴けると思いますが
今ここで考え、場合によってはすぐにも決断しなければいけないこと、いくつかあります。

僕らで世界をよくする、なんてことはできないけれど、歌にして投げかけてきっかけの一つを作る、は ひょっとしたらできるのかもしれない。
そんな可能性に賭けています。



相模の風THEめをと 次回ライブは~こんどの土曜日!
相模の風THEめをと&柴田ヒロキ ツーマンライブ『@HOME』

日時:2014年2月1日 18時半オープン,19時スタート
場所:神奈川県大和市南林間 1-10-17-1F 娯楽酒家 La stanza
チャージ:2,000円 + 1ドリンク


未来のボクたちへ  収録


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