映画『少女』を観る | さむたいむ2

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今日も元気で

 

映画『少女』のDVDを借りてきました。湊かなえの原作です。

 

由紀と敦子の仲良しの高校2年生。敦子をモデルにした小説『ヨル綱渡り』を由紀が書き、それを担任の国語の教師に盗作されてしまいます。このことを皮切りに大人の狡さと思春期の少女の思いが交錯していきます。『ヨルの綱渡り』がある文学賞を受賞します。敦子はどんな小説だか読みたいのですが載ってる雑誌が手に入りません。教師も手元になく「たぶん単行本になるから」と出たら買うようにいうのですが、ついぞその作品は単行本として世に出ることはありませんでした。

 

教師が事故死したのです。由紀は書籍化されて話題になったら「盗作」であることを公表しようと考えていました。実は事故死でなくノイローゼによる自殺だったのです。盗作した小説が賞をとったという負い目が彼にありました。さらに実力で得たものでない受賞の重さが彼を苦しめたのです。それまでは学生時代の同人誌仲間の成功を羨んでいた彼でした。盗作までして近づきたかったのでしょう。しかし力ないものには辛いものでした。たぶん由紀の怨みを充分感じていたはずです。

 

紫織が同じクラスに転校してきました。彼女は前の高校で親友を失っています。浴室で自殺しているところを発見したのです。死をリアルに目撃したショック。転校の理由がそれでした。思春期に思い描く死は観念的なものです。紫織は死を目撃したことにより、由紀や敦子を圧倒しました。さらに紫織は敦子と下校し、電車内で敦子に痴漢したと男を脅します。紫織の巧妙な悪戯です。お金を男から巻上げその一部を敦子に渡します。共犯関係の成立です。

 

由紀、敦子、紫織の思いが繰り広げるドラマです。女の子でなければ分からない、表面的には仲良しでも裏では中傷しているクラスメイト。由紀と敦子は「イミわかんない」と思いながらも互いに信じようとしています。いや、信じる自分を信じようとしているのかもしれません。

 

この映画一度観ただけではわからない。たぶん再度観てもわからないでしょう。

この少女たちはミステリアスです。思えば我が高校時代、いかに幼かったか。彼女たちの生態は今も昔も変わらない。それだけはわかります。