映画『楽園』のDVDを観ました。原作は吉田修一です。
『悪人』『怒り』と映画化されています。
そして『楽園』のメガホンをとったのは瀬々敬久監督。
人はいつでも犯罪者に成り得るという。
それも集団でひとりを犯人を決めつけて追い込むこと。
村八分。いじめ。みなその体をなす。
学校帰りのふたりの少女。家に遊びにおいでよ、と誘った少女。
行けない、と答える少女。ふたりはY字の道で別れ、誘った少女が失踪する。
帰宅が遅い少女を村中で探し出す。奥深い村の出来事。
少女の行方が分からず、ひとりの青年が不審者と仕立てられていく。
その青年は追い詰められ、逃げ込んだ食堂を放火し、自ら灯油をかぶって焼死する。
彼を犯人とすることで皆安心した。犯人を作り出すことで村の秩序が保たれた。
じつはこれが真の犯罪ではないか。
また真面目な養蜂家の男が村八分になりました。
村起こしのために養蜂を村全体で行おうと提案します。
しかしその意欲を村人は理解できなかった。
きっかけは些細な事で彼は村八分となる。
そして村八分に追い込められた彼は村人を殺害します。
彼は殺害に使った鎌をもち山中で自死にします。
これまた集団でひとりの男を追い詰めた結果です。
この映画は実際にあった事件を模しているという。
そして唯一救いは、「すべてを抱えて生きていく」という、あのもうひとりの少女の成長した娘。
彼女は友人の誘いを断ったことで深く心に傷をもっていた。
また犯人と疑われた青年がやさしい人だと知っていた。
さらにあの養蜂家が犬好きで、なぜ大事件を起こしたのか信じられない。
この一部始終を見ていたのは彼女だけでなく、村人たちも同じです。
しかし犯罪は彼らによって惹き起こされた。
この村が「楽園」であるはずはない。
期待は「すべてを抱えて生きていく」娘に託されます。