映画『Red』 | さむたいむ2

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今日も元気で

 

島本理生原作の映画『Red』のDVDを観ました。

 

監督は三島有紀子です。『しあわせのパン』(2012年)『ぶどうのなみだ』(2014年)『繕い裁つ人』(2015年)『少女』(2016年)『幼な子われに生まれ』(2017年)『ブビリア古書堂の事件帖』(2018年)と彼女がメガホンをとった作品は全部観ています。女ならではの視線が面白いのです。

 

決断した女性の意志の強さを『Red』ではまざまざと見せつけられました。

 

家庭を守るのが女の仕事という概念はもう古いのでしょか。

塔子(夏帆)の夫、真(間宮祥太郎)もそのひとりです。また母親に弱い一面をもっています。あらゆる男はマザコンであることは歪めないのですが、今日、家事、育児をそつなくこなすのが女の務めだなんていったら嫌われるでしょう。さらに真は仕事に疲れたといって性に無頓着です。塔子は満たされないものを感じました。これどこにでもある危機です。

 

塔子は仕事をしたいと夫に進言しました。保育園に通う娘がいますが、送り迎えは互いにするということで了承を得ます。また義母が面倒をみてくれることでした。塔子は学生時代、設計事務所でアルバイトしていました。その時の社長が鞍田(妻夫木聡)でした。いま会社を畳んである設計事務所にいました。塔子は鞍田の伝手を頼ってその事務所に入ります。

 

塔子と鞍田は10年ぶりの再会です。「禁断の恋」の始まりです。

 

もし塔子の夫に、日常妻との会話がなされていたら、彼女は家を守ることに少しも疑問をもたなかったでしょう。あどけない可愛い娘とのしあわせな時間を実感できたはずです。30代半ばの女性が落ちる陥穽です。

 

女性も外で生きがいを見つけられる時代です。それは裏を返せば家庭に生きがいがないことです。

「生きがい?」。なんて空しい言葉でしょう。

「不倫」に走るのは男だけでないのです。女の場合は歯止めがききません。

ドラマ『恋する母たち』を見ていてわかります。男も女も恋がしたいのです。

既婚者だって例外ではありません。

 

しかし女性は一度こうと決めたら、後戻りはできないのです。

塔子もそうでした。娘が「ママ帰ろうよ」といっても、夫に娘を残していってしまうのです。

鞍田の元へ行ったにしても幸せはありません。

それでも塔子は自分で決したのです。

これを女の強さというのでしょうか?

いや、違います。幸福にすがらなくとも生きていけるのが女性です。

塔子はそういう女性でした。