肩こり2 | 治る力

治る力

鍼灸・マッサージを生業にしている者が思うことを
綴ります。ときに前向きに、ときに後ろ向きに

肩こりの治療

多くの肩こりは肩だけの問題ではなく、

肩と中枢(脳)との連携がうまく行われていません。

ですからその治療も肩に対するものと、

脳に対するものとを併せると効果的です。

 

肩に対しては、

鍼灸以外ではストレッチ、肩の筋肉を掴むなど。

 

※プールで足がつった時に、

つった筋肉をストレッチさせることで痙攣が治まる

のと同じ理屈。

しかし長時間に渡って生じた「コリ」は、

ちょっと筋肉を掴んだくらいで解消しないのは、

多くの人が経験しています。

先述しました通り、肩こりは脳との関わりが深く、

脳の疲れは、すぐには取れないということでしょう。

 

脳(脳幹毛様体)に対しては、脳を休めることです。

そのためには外的刺激を受けないようにします。

 

※γ運動ニューロンは脳幹毛様体の影響を強く受けていて、

脳幹毛様体は大脳の影響を受けています。

γ運動ニューロンの興奮性の強さは、

脳幹毛様体への求心性インパルスに比例します。

つまり入ってくる情報が多く、刺激が強いほど

本来、γ運動ニューロンはよく働くのですが、

働き過ぎることで感受性が鈍くなってしまうと

γ運動ニューロンが働かなくなり、

肩こりという病的状態になってしまうわけです。

 

脳を休める具体的な方法としては、

暗くする、横になる、気温・湿度・音と居心地よい環境に身を置く等。

音楽や照明・香りをうまく利用するのもよいでしょう。

 

大脳への対処としては、やはりストレスを減らすことですが、

このために、鍼灸を行います。

刺鍼部位は、頭皮の圧痛部位、後頭部、風池、天柱、安眠など。

 

一連の流れを説明すると、

同じ姿勢を保つことで骨格筋が収縮した状態が続く

(腱に伸展ストレスが掛かる)

  ↓

この時に紡錘に在るⅠb群求心性神経から

中枢に情報が送られる

  ↓

情報を受け取った中枢からγ運動ニューロンにより

錘内筋(腱紡錘)にインパルスが送られ、

錘内筋線維の両端(腱)が収縮し、その結果、

錘内筋線維の中央部分(筋腹)が伸展される。

  ↓

紡錘にあるⅠa群求心性神経の活動が増える。

  ↓

Ⅰa群求心性神経情報を受け取った中枢は、

α運動ニューロンにより筋収縮命令を出し、

筋を元の状態に戻す。

 

このようなメカニズムが働くことによって、

筋腱ともに通常の状態を保つことができる。

しかし、中枢が疲労すると情報を受け取る、

送る、の双方が活動が低下し、

骨格筋は伸展ストレスが掛かったまま、

緊張したままになってしまう。

 

γ運動ニューロンの興奮が高まったまま働きが鈍くなれば、

Ⅰa群求心性神経の働きも鈍くなり、

Ⅰa群求心性神経の働きも鈍くなれば、

α運動ニューロンの働きも鈍くなる。

すると骨格筋は収縮しなくなる。

 
→骨格筋が緊張したまま収縮しなければ、
血液は滞り、局所に疲労物質が溜まる。
疲労物質が溜まったという情報が
C線維(おそらく)によって脳に届き、
そこで肩こりを認知する。

 

よってリラクゼーションが大切となる、わけです。

 

肩こりの緩和解消には、局所的な運動だけでなく、

身体全体を動かすことが大変効果的です。

適度な運動は筋肉にも脳にも働き、神経の感受性を
高め(戻し)、血流を改善し、肩こりの緩和解消に役立ちます。