この本、良書です!
「衣食住」という生活行動における身体と心の関係を
これまでの心理学・家政学が軽んじてきたことに警鐘を鳴らしています。
(前者は身体の側面を、後者は心の側面を軽んじてきた)
いわゆる「発達心理学」部門というカテゴリでなく、
衣食住のような実生活において身体が果たす役割を論じています。
章ごとにトピックが異なるのですが、今日は
「第3章 まちに住まう」をご紹介。
筆者は2つのまち調査した結果、まちの種類として
「意図遂行型」と「環境探索型」に分けられると指摘します。
「意図遂行型」は新しく開発されたまちに多く、場に想定された機能がありそれにしたがって
人は動きます。そこに住む人はそのスーパーで買い物をするという選択をした理由を聞くと
「近いから」などのまちづくりにおいて想定された理由において動きます。
一方「環境探索型」は、昔からある人々が生きる中で自然発生的にできたまち。
そこに住む人は同じように理由を聞くと「店の人と顔なじみ」などその場の状況に
応じた関わりで動く。道も「今日はここを通ってみたくなった」という理由で
遠回りしたり坂の道を通ることがあるのです。
場所に対してその人なりの意味づけが行われていると言えます。
意図遂行型は場の機能が主役であるのに対し、
筆者は「環境探索型」のまちについてこう述べます。
「環境をとにかく探索し、環境と出会い、環境とのかかわりを作り出していくうえで、
身体はむしろ主役といってもいい。そして身体はまさにその場に存在し、
他者に常に認知され、他者の存在から影響を受けるとともに他者の行動に影響を与えている。」
「場所の質は、一人ひとりの主体的な行動が許容されることによって作り出され
同時に一人ひとりはそこで固有のかかわりを紡ぎだしかかわりを広げていく。」
自分の社会的欲求と他者との関わりのバランスの中で
見出していく「自分自身」のあり方、生き方。場は人を育んでいく。
まちのデザイン・場のデザインについて改めて考えさせられました。