「くるみ割り人形」を観て(個人的な雑感)
12/9のスタダンくるみから、クリスマスの東バのくるみ、1/8の新国くるみ千秋楽まで、1ヶ月間、3つのカンパニーで、たくさんのくるみを観た。
スタダンも東バも新国も、それぞれにとても素敵な舞台。
個性的でオリジナリティいっぱいの温かい舞台が素敵なスタダンのくるみ。
オーソドックスな中にたくさんのロシアバレエのエッセンスが凝縮された東バのくるみ。
華やかなでテクニカルな新国くるみ。
たくさん観たら飽きるかと思っていたけれど、全然そんなことは無かった。
まだまだ観たいくらい(笑)。
心温まるスタダンのくるみは、個性豊かで、全体に暖かい雰囲気がいい。ドイツのクリスマスマーケットから始まり、雪の踊りが大雪の中の素敵なコンテなのが特徴的。
東バはロシア伝統の正統派くるみ。きちんと終曲で終わり、1幕の子供役も全部ダンサーなので演技も踊りも観ていて飽きない。
新国はゴージャスな舞台で踊りがとにかくハード。すべてが美しく見応え十分。そこまで難しくしなくても・・・と思うくらい。
新国くるみの難点は1幕前半が紗幕で見にくいことと、チャイコフスキーが書いた終曲で終わらないこと。
何度か書いているけれど、作品が終曲で終わらないのは、個人的にどうしても納得できない。
くるみは、楽しい舞台と共に、チャイコフスキーの音楽が素晴らしくて。
魔法のような魅力のある素敵な響き。温かくて、緻密で、自然で、美しくて、劇的で、甘美で、華やかで、音色が多彩で、音楽展開が天才的。音楽的にとにかく素晴らしい。
特に、新国のオケピは素晴らしかった。バクランさんの渾身の指揮。東フィルさんは、(ジルベスターやニュイヤーオペラと掛け持ちなので)くるみの公演途中で多くのメンバーが交代したけれど、前半も後半も素晴らしい響き。
くるみの舞台の感動はオケによる力も大きい。
東フィルさんの素晴らしさは、バクランさんも大絶賛。終始ゴージャスで豊かな響きだった!
妊婦の冨田実里さんも、2月にご出産予定でありながら、素晴らしい指揮ぶり。お腹の赤ちゃんは生まれる前から素晴らしい生のチャイコフスキーのオーケストラ音楽に包まれて幸せだなぁ。これからしばらく産休とのこと。ゆっくりとされますように。
個人的には、新国バレエ・木村優里さんの怪我を乗り越えた完全復帰の素晴らしい舞台にうっとり。
廣川みくりさんの堂々とした主役デビューも特に印象的。
スタダン・塩谷綾菜さん、東バ・足立真里亜さんの踊りの深化も素晴らしい。
新国・米沢唯さん、東バ・秋山瑛さんの抜群に素敵な踊りも目と心に深く残る舞台になった。
私が観た舞台では、お二人の女性ダンサーがクララ主役デビュー。
スタダンの冨岡玲美さんと新国の廣川みくりさん。
お二人ともとても素敵なクララ。
主役デビューは特別な舞台。その瞬間に立ち会うことは特別な感動があるもの。
お二人のこれからの活躍がますます楽しみ。
今後も若手ダンサーの初役クララが続くことを期待したい。
スタダンの早乙女愛毬さんや東真帆さんのクララ、きっと素敵だと思う。
東バでは、中島映理子さんや中沢恵理子さんのマーシャを観てみたいなぁ。
いずれは富田翔子さんや米澤一葉さん、栗芝みなみさんのマーシャも。
新国では、花形悠月さんや山本涼杏さんが、いつの日か素敵なクララになって欲しいな〜
などと、勝手に思ってる。
(まったくの個人的な願望)
今回、東バと新国は年明けにもくるみを上演。
特に新国は、大晦日も上演し、年明けも元旦から8日まで7回。(トータルでは17回!)
ダンサーの方々は大変だけれど、クリスマス後やお正月のくるみにも慣れてきた。
これからも各カンパニーが公演回数を増やして、普段バレエを観ない人達にもたくさん観てもらって、バレエファンを増やし、ダンサーの方々には舞台の経験、初役の経験を増やして、成長や挑戦の機会にしていって欲しい。
数えたことはないけれど、暮れにやるオケの「第九」の公演回数にだいぶ近づいているのではないだろうか。
公演数が多いからこそ大抜擢キャスティングをすることで観客も楽しめるし、ダンサーの方々にとってもチャンスが広がるはず。
オケについては、スタダンのテアトロ・ジーリオ・オーケストラの演奏が年々レベルUPして頼もしい。若い音楽家達の成長のスピード感がすごい。
最後に、たくさんの感動にあらためて感謝。
スタダンのくるみも、東バのくるみも、新国のくるみも、それぞれ本当〜に素晴らしかった!
来シーズンもどんな新しい感動を届けてくれるか、今から楽しみ。