「今日も一日疲れた」
なんて
アタシが言えるようなことじゃないけど
ふと口に出した言葉で
体の怠さが一気に増した気がした
真っ暗な夜の街を
自転車を押して歩く
「なんか、」
———孤独、だな…
暖房でほ照った体を
冬の風が少しずつ冷ましていく
(…………あ、)
暗闇の中にぼんやりと浮かぶソレは
「自動販売機、だ」
なんかちょっとテンション上がったかも、
なんて思いつつ自転車を押しながら駆け寄った
「わぁー…!」
おしるこ、コーンポタージュ、ココア…
でもやっぱり、
「蜂蜜れもん……!」
あった、
なんかテンション上がる
だが私のテンションは一気に急降下することになる
「………?」
値段の下に表示してあるソレ
「うわぁ!」
売り切れ、とか…
(ほんと、)
ついてないなぁ……
ため息をつきながら仕方なくココアを購入
「…………」
久しぶりの甘い感覚が頭をクラクラする
口に残る甘いそれが少し気持ち悪くなった
(やっぱり、蜂蜜れもんがよかった)
いまさら後悔しても遅い訳で。
仕方なく残りを一気に飲み込む
(甘、ったるい…)
お茶か何か買ってしまおうか、なんて衝動にかられつつもせっかく買ったんだもん
ココアに失礼だ
しん、と静まり返った暗闇に
コツリ、誰かが歩く音がした
その音にほんの少しの恐怖を覚えて
(……早く、帰ろう…)
自転車を押しかけたその時————
「……お嬢サン!」
「…………?」
突然に振り返る先には
「もったいないなぁ…そんな乱暴な飲み方…」
自動販売機に照らされてようやくその姿が確認出来た
黒いパーカーを羽織った茶髪の男
(なんか、
やばく、ない…?)
「あ、の」
「蜂蜜れもんがよかったの?」
「いや、あ、の」
「ココア、可哀相ジャン」
「………」
なんで私は知らない男に説教されているのだろう
しかも初対面なのに
なんか、ムカつくな…
確かにココア可哀相だけどさ!
「(……やばい、ほんとに殴りたくなってきた)」
「ケータイ、まさか電源落としてんの?」
「……え?」
「やっぱりねー」
その人はクスリと笑うと私の方を向き直した
「メールも、電話も繋がんなかったから」
もう一度笑みを見せた男
その瞬間、
私の脳裏に浮かんだ映像
——ソレは……
ココアにうるさい
綺麗な顔立ち
慣れたような喋り方
人を馬鹿にしたような笑み
ケータイを切っている事を知っている
———はっきりと解った
(まさ、か)
「思い出すの、遅いよ」
少し高い声
「何その顔」
笑いながらもはっきりと聞き取れる声
「鶴葉サン?」
私を呼ぶ、
あの大嫌いな声
「———栗稀」
「久しぶり」
「会いたくない」
自転車を押して帰ろうとしたその時——
「ケータイ、電源つけて」
「……っ?」
思わず振り返ると
ココアを手にした彼
「ケータイ、つけて」
「………」
「つけろよ」
栓が開く音がした
「…………なんで、」
「いいから、つけてみて」
どうやらもうそれを飲み終わったらしい
仕方なく電源をつけるとぽつり、と浮かび上がった
【メール受信 1件】
たった1件のメール
開くのを躊躇っていると
缶を投げ捨てる音がした
「…………っ」
[sub:
これで、終わり ]
一通のメール
たった一文
「今日は、鶴に言いたい事があってきたんだ」
振り返ると淋しそうな顔をした彼
「何このメール」
「そのまんまだよ」
「………?」
「鶴葉、
これでおしまいにしよう」
——この言葉を聞いた時、何故か
苦しくなった。
なんて
アタシが言えるようなことじゃないけど
ふと口に出した言葉で
体の怠さが一気に増した気がした
真っ暗な夜の街を
自転車を押して歩く
「なんか、」
———孤独、だな…
暖房でほ照った体を
冬の風が少しずつ冷ましていく
(…………あ、)
暗闇の中にぼんやりと浮かぶソレは
「自動販売機、だ」
なんかちょっとテンション上がったかも、
なんて思いつつ自転車を押しながら駆け寄った
「わぁー…!」
おしるこ、コーンポタージュ、ココア…
でもやっぱり、
「蜂蜜れもん……!」
あった、
なんかテンション上がる
だが私のテンションは一気に急降下することになる
「………?」
値段の下に表示してあるソレ
「うわぁ!」
売り切れ、とか…
(ほんと、)
ついてないなぁ……
ため息をつきながら仕方なくココアを購入
「…………」
久しぶりの甘い感覚が頭をクラクラする
口に残る甘いそれが少し気持ち悪くなった
(やっぱり、蜂蜜れもんがよかった)
いまさら後悔しても遅い訳で。
仕方なく残りを一気に飲み込む
(甘、ったるい…)
お茶か何か買ってしまおうか、なんて衝動にかられつつもせっかく買ったんだもん
ココアに失礼だ
しん、と静まり返った暗闇に
コツリ、誰かが歩く音がした
その音にほんの少しの恐怖を覚えて
(……早く、帰ろう…)
自転車を押しかけたその時————
「……お嬢サン!」
「…………?」
突然に振り返る先には
「もったいないなぁ…そんな乱暴な飲み方…」
自動販売機に照らされてようやくその姿が確認出来た
黒いパーカーを羽織った茶髪の男
(なんか、
やばく、ない…?)
「あ、の」
「蜂蜜れもんがよかったの?」
「いや、あ、の」
「ココア、可哀相ジャン」
「………」
なんで私は知らない男に説教されているのだろう
しかも初対面なのに
なんか、ムカつくな…
確かにココア可哀相だけどさ!
「(……やばい、ほんとに殴りたくなってきた)」
「ケータイ、まさか電源落としてんの?」
「……え?」
「やっぱりねー」
その人はクスリと笑うと私の方を向き直した
「メールも、電話も繋がんなかったから」
もう一度笑みを見せた男
その瞬間、
私の脳裏に浮かんだ映像
——ソレは……
ココアにうるさい
綺麗な顔立ち
慣れたような喋り方
人を馬鹿にしたような笑み
ケータイを切っている事を知っている
———はっきりと解った
(まさ、か)
「思い出すの、遅いよ」
少し高い声
「何その顔」
笑いながらもはっきりと聞き取れる声
「鶴葉サン?」
私を呼ぶ、
あの大嫌いな声
「———栗稀」
「久しぶり」
「会いたくない」
自転車を押して帰ろうとしたその時——
「ケータイ、電源つけて」
「……っ?」
思わず振り返ると
ココアを手にした彼
「ケータイ、つけて」
「………」
「つけろよ」
栓が開く音がした
「…………なんで、」
「いいから、つけてみて」
どうやらもうそれを飲み終わったらしい
仕方なく電源をつけるとぽつり、と浮かび上がった
【メール受信 1件】
たった1件のメール
開くのを躊躇っていると
缶を投げ捨てる音がした
「…………っ」
[sub:
これで、終わり ]
一通のメール
たった一文
「今日は、鶴に言いたい事があってきたんだ」
振り返ると淋しそうな顔をした彼
「何このメール」
「そのまんまだよ」
「………?」
「鶴葉、
これでおしまいにしよう」
——この言葉を聞いた時、何故か
苦しくなった。