元記事→ サンドバック社員 1
G君に得意分野があることに気が付いた私は
早速彼が使っているソフトや、出来上がっている作品を見せてもらいました。
勿論プロの作品とはレベルが違いますが、それでも資料作成には十分な技量でした。
私はすぐに営業課にG君の作品を見せ、忙しい社員たちは面倒なプレゼン資料の作成を喜んで彼に任せるようになりました。
もともと社員達は根っからの意地悪というワケではありませんから
G君を批判するより彼の嬉しそうな顔を見る方がはるかに気分が良いことに気が付き、
彼に心からお礼を言うようになりました。
その様子を見ていた私は、G君に意地悪を続けていると私に批判が集まると思い、彼に普通に接するように特に気を付けるようになりました。
だんだんと社内に「人としてのマナー」という意識が抑止として働き始め、G君を怒鳴る人は居なくなりました。
ビジネスの場ですから、仕事ができない人間は批判に晒され淘汰されます。
人権以前に会社にいる存在理由を求められるからです。
仮にG君が我が社を辞め、別の会社に転職できたとしても、今迄のままのG君だったら
解雇されるか仲間外れに合うかのどちらかだったと思います。
イジメの首謀者の私が言うと大変誤解を招く危険があるのですが、
G君はどこかで戦い自分で自分の居場所を造らなければいけなかったのです。
G君はじっと亀のように耐えていました。
でも彼は寝ていたわけではありません。
わざわざ自分の名前を配置したイラストをディスプレイし、自分の実力を主張していたのです。
そしてG君は自力で自分の居場所を勝ち取ったのです。
今、G君は笑顔で出社しています。
G君が私たちの全てを許しているとは思いません。
しかし彼は生きていくための現実と感情を秤にかけ、会社に留まる決断をしたのでしょう。
G君には確かに芯があったのです。
※補足です。
この記事は大変デリケートだと思います。
イジメられている側が戦わないのが悪いという曲解を招く危険があるからです。
しかしそれは私の意図するところではありません。
G君の場合に限って書いていること、
逃げるも戦法の一つだということ、
イジメるという行為は自分の魂を貶める行為だということ、
そして人の心に取り返しのつかない傷を与える行為だということを付記させてください。