今アンタって言った? 裏切りの株主総会 その2 | 100回死んでも足りない女

100回死んでも足りない女

恥の多い人生でした…
人格障害が会社を経営したら

前回からの続きです。

 

混乱した頭のまま私はK社の社長に話しかけました。

「そうすると御社がD氏の株を全数取得して、D氏は取締役を辞任する。代わりに御社から取締役を派遣し、D氏は執行役員になるというわけですね?」

 

K社の社長は黙ったままで、代わりに極悪趣味な常務が答えました。

「ええ!D氏はもっと自由に仕事がしたいと仰っています。私もD氏が会社経営だとか資金繰りとかで貴重な時間を使うのは無駄だと思います。ですから今後はわが社が全面的にバックアップします!」

 

要するに、D氏は自分で会社を経営してビジネスをするよりも、フリーの立場で様々なビジネスをそれぞれ最適なパートナーと組んだほうが得策だと判断したわけです。

 

このまま新会社でビジネスをしていれば、愚鈍な私と利益を分配しなければいけなくなります。

自分が出資した資本金は全額回収し、取締役を辞任して自由になりたい。

しかし新会社で取り組んでいるビジネスはそのまま継続したい。

そこでK社を利用することを思いついたのでしょう。

…そういうことか。

私は彼の意図がようやく見えました。

 

私はD氏に向って問いかけました。

「株式に譲渡制限があったはずだけど?

私はDさんの株式譲渡に承認はしませんよ」

 

すると横から極悪趣味な常務が小バカにした口調で言いました。

「承認しないってアンタ、じゃあD氏の株、全数買い取れんですか?」

 

はぁー? 今 アンタ って言った?

大体、私、ワイシャツのボタンを腹まで開けているビジネスマン初めて見るんだけど!

それカッコいいと思ってやってんの?それとも暑くて仕方が無いの?

 

とは思いましたが、完全にアウェイ状態。

私は低レベルな罵詈雑言を飲みこむしかありませんでした。

 

すみません、長くなったので続きます。

 

*少し説明しますと、定款で会社の株式に譲渡制限を設けると、株主は会社の承認なくして自由に株の売却が出来ません。

会社にとって不都合な第三者が株を取得することを防ぐための制限です。

ただしこの制限には条件があり、もしも株主の株式売却を承認しない場合、その代わりに会社もしくは会社の指定買取人がその株を買いとらねばいけないのです。