ビジネスパートナーのD氏と私の間にはすきま風が吹きはじめました。かなり強めに。
D氏は何をするにも10倍速で動き、周りの人をどんどんと従わせていくタイプでした。
彼と新しいビジネスを始めた人間は、彼のプランの中で次々と発生する問題を解決しようと懸命に取り組み忙殺されます。
その間D氏は別のことを思いつき、次のパートナーと新しいビジネスを展開していく。
もはや私は彼の動きを把握できず、D氏もまた私には何も話さないようになっていました。
そんなある日、D氏は 私と二人で立ち上げた新会社の臨時株主総会を突然招集しました。
イヤな予感しかしない私が新会社のオフィスへ行くと、初対面の男性二人とD氏が私を待っていました。
一人はいかにも切れ者な顔をし、もう一人は薄紫色のワイシャツの胸を大きく開けた極悪趣味な男性でした。
株主はD氏と私の二人だけです。
何で部外者がいるのかとD氏に目線で尋ねると、彼は答える代わりに言いました。
「会社をK社の子会社にしたい」
そんな勝手な事出来るの???
私は49%の株式を所有しています。
会社の売却は特別決議事項で3分の2以上が必要なはず。
混乱する私の前にK社が作成した新体制のスキームのレジュメがおかれました。
先ほどの男性二人はK社側の人間で、切れ者顔が社長で、極悪趣味は常務でした。
レジュメには
K社がD氏の株を全数買いとること、
K社の役員が新代表になりD氏は執行役員になること、
そして大事なことは全て省略されたビジネスフローが書かれていました。
何コレ?
とっさにD氏の顔を見ますが、彼は私から目を逸らしたままです。
私とD氏の間にはすきま風どころか嵐が吹いていたのです。ゴーゴーと。
ちょっと長くなりましたので明日に続きます。