反撃タイム 裏切りの株主総会 その3 | 100回死んでも足りない女

100回死んでも足りない女

恥の多い人生でした…
人格障害が会社を経営したら

前回からの続きです。

 

極悪趣味な常務は、私にはD氏の株を買うお金が無いだろうと決めつけていたことから、D氏が彼らにどんな風に私の話をしていたか想像が付きました。

確かに私は文無しでしたが、私の会社なら買い取る資金は工面出来たのです。

 

しかしD氏の株を買い取って何になるでしょう?

彼の株を買い取ればD氏は自分の資本金を回収できたと喜ぶだけです。

そもそもD氏が私を切ると決めているのですから関係修復のしようがありません。

 

私は知らんぷりをしているD氏の横顔をみて、彼と会社を立ち上げるまでの日々を思い出しました。

彼のアイデアは際どい部分や山師のような部分が沢山ありましたが斬新で、二人で何度も爆笑しながら計画を練りました。

私は彼のビジネスをはかどらせるために面倒な手続きを全て引き受けていました。

また新会社の資金を節約するため、私の会社がオフィスを借り、そこに新会社が居候をする形で登記をさせるなど場所の支援までしていました。

 

ん?

あれ?もしかして…

とっさに株主総会の決議事項を見直しました。

D氏が51%の株を保有しているため彼らは安心しきっています。

 

議事進行がスタートし、私の了解なく勝手に極悪趣味な常務が司会役を務めています。

 

「D氏がK社に株式を譲渡すること」

「承認します」

 

「D氏の退任届」

「受理します」

 

「新取締役に○○(K社の役員の名前)を選任すること」

「賛成します」

私は質問もせずに賛成し、サクサクと決議が進みます。

 

「では、最後の事項ですが、新体制に伴い、本店をX区へ移転します」

「反対します」 

私は出来る限り冷静に発言しましたが、唇が震えるのを止められませんでした。

 

D氏達3人は一斉に顔を見合わせました。

 

「反対します。本店移転は特別決議事項(株主の3分の2の賛成が必要)だから成立しませんよ。勝手に引っ越ししないでくださいね」

私は席を立つと部屋を出ました。

K社にしてみれば新会社を自分のコントロール下に置くために会社を移転させたいでしょうし、ましてや私の会社のオフィスの間借りでは動きづらいいでしょう。

玄関のドアのところまで行くと慌てたD氏が追いかけてきました。

 

「錆びたさん、ちょっと話し合いましょう!」

 

「絶対イヤ!」

 

今度は私が資本金の回収をする番です。

 

人間への道は続きます。