ファクターXは「少ないPCR検査」
日本において新型コロナウイルスの被害が抑えられた未知の要因を、京都大学の山中伸弥教授は「ファクターX」と名づけ、その解明が進められている。
私は医師でもなければ感染症の専門家でもないが、これまでのマスコミ報道を見てきて、単純に
ファクターXの一つは「少ないPCR検査」ではなかかと思う。
もちろんPCR検査は診断・治療のために必要な検査であり、必要に応じてしっかり行う必要がある。決してPCR検査を否定しているわけではない。ただ目的に合った使い方が必要であると思う。
当初から欧米では、感染している人を早く発見し隔離する必要があるとして、多くの人にPCR検査を行った。そして、多くの陽性者を発見しそれなりの対応をしたらしい。
これはこれで妥当な考え方であり、日本でも早くそうすべきであるという論調が多くあった。
確かに、PCR検査の精度が100%であれば有効な手段である。
しかし、PCR検査の精度は最良で80%、平均で70%程度とのことである。100人の感染者のうち30人は見逃すということだ。
陽性にならなかった人、すなわち陰性の人の中にも感染者(偽陰性者)がたくさん紛れ込んでいることになる。
その人たちが、陰性だったというお墨付きをもらって大っぴらに活動することで感染が広まっていく。検査をすればするほど、偽陰性の人が増えその人たちが感染を広げていくことになる。
幸い日本では、当初PCR検査は保健所の指導の下ごく限られて人しか受けられなかった。陰性だった場合も医師や保健所の指導で自宅待機など活動を制限してきた。
したがって、偽陰性者が大っぴらに活動することがなく、感染が抑えられてきたと考えられる。
これがファクターXの正体である。
ところが昨年12月ごろから、日本でも低価格で誰でもPCR検査ができるようになった。仕事はもちろん遊びまわりたい人たちが、陰性のお墨付きをもらうためにそこに殺到した。
そして、その中の偽陰性の人たちが大っぴらに活動し、今の感染拡大に結びついたと考えられる。
本来は陰性だったとしても安心してはいけない。30%前後の確率で、実は感染している可能性がある。また、検体採取後に新たに感染している確率もある。
にもかかわらず、人間の心理として「陰性と判定されれば自分は感染していない」と考え、必要な予防措置などが疎かになってしまう可能性がある。その気のゆるみが感染拡大に結び付く。
以前から言われていたが、PCR検査は診断を確定し治療に活かすためのものである。活動するための「お墨付き」にはならないことを肝に銘じる必要がある。
むやみにPCR検査を行うことは、せっかくのファクターXを失うことになるのではないかと心配である。
人事に関する記事は、同じアメブロの「評価のQ&A」に掲載しています。