2016年1月24日(日)、寒い日の昼下がり、大阪シンフォニーホールにて、第17回ショパンコンクール上位6名「ファイナリスト」のガラコンサートが行われた。

トップバッターは、なぜか5位のトニーさん。
最年少だったためか。若干17歳とは思えない繊細で堂々とした演奏。

最後は、韓国のチョさん。
コンチェルト第一番。さすが馴れた"手つき"で、安定感のある“マジメ”な演奏。


いつもシンフォニーホールに行く度、思うことがある。
聴衆は、少なくともクラシック音楽の知識は多少あるか、もしくは曲目を多少は知っているはず。また中には、プロ・指導者・生徒・ファン・初心者など、ピアノを弾く人も多いはず。

なのに・・・、なぜ・・・。

演奏中、曲が静かになった時に、わざわざ咳払いをするのか。
演奏中、咳払いの連鎖反応が起こるのか。
演奏中、飴の袋をジリジリと音を立てて破るのか。
演奏中、双眼鏡で、前のめりにかじり付いて見るのか。
演奏中、あろうことか、携帯がなるのか。

いったい、どういう姿勢で聴きに来ているのだろうか。


数年前、ニューヨークのカーネギーホールに聴きに行った時は、暗黙の了解の「ドレスコード」。無論、演奏中、咳払いの連鎖反応なんて起こる事はない。
私は当時、持っていた服の中で、一番の "正装" をして行ったが、それでも恥ずかしくなるぐらい、聴衆は100%全員、身なりをきちんとしていた。

聴く姿勢が、できている。


コンサートの内容はというと、それは皆さん素晴らしい演奏で、さすがは入賞者たち。
ただ、次来日された時、聴きに行くだろうか・・・。



今年は、前ブログにある私が最も注目していたチャイコフスキーコンクール2位受賞のジョージ・リーのコンサートが、大阪と東京で行われる。
ショパンコンクールとの "カラー"の違いや、"聴衆" の違いなど、色んな角度から楽しむ事ができればと思っている。

もちろん、彼の演奏にどれだけ魅了されるか、自分の耳も確かめたい。











コンクールも終わり、各審査員が誰にどのような点数を付けたかは、非常に興味深いものです。

中でも、Finalの審査結果は、オーケストラとの協演で、第一次・二次とはまた違った評価がなされただろう。

Finalは、ひとり 1~10点の評価で、10点満点は、一人の演奏者にしか審査員は出せない。

そんな中、私が最も注目した Kate Liu さんは、10点満点が一番多かった。
私の中では、優勝候補だったのですが、平均点は上位者には及ばず・・・。


採点表を見ると、審査員の中でも、見解が分かれている事は、顕著に分かる。


国内においても、
コンクールは、審査員の事をよく理解して出場するべきだと私は思っている。
「この人達に審査されたい」と思わなければ、そのコンクールに出る意味はあるのだろうか。

むやみにコンクールに出て、その結果に一喜一憂され、自分らしい演奏を見失い、何のためにピアノを弾いてるのか分からなくなっては、元も子もない。
良い点数が付けば、"ラッキー" という程度でいい。

私は、むしろコンクールとは、演奏を向上させる機会に過ぎないと考えている。
結果を追い求めるのではなく、そこに行くまでのプロセス(緊張感のある練習・レッスン)が、本来の意味を持つように思う。


ピアノが好きで、弾くのが好きで弾いている。


優勝者の演奏が、必ずしも聴衆の心を打つかどうか、万人受けするかは全く別問題であり、
聴き手は、メディアに惑わされず、自分の耳で、自分に合った良い音楽、好きな音楽を自分で判断し、もっとクラシック音楽が身近になり、色んな演奏家が育っていけばと思っています。




栄光は、韓国のChoさんに輝きました。
正統派・スター性・舞台性・これからの期待度、またピアノを弾いている人にとってのお手本となるような演奏でした。
優勝者として相応しいピアニストであったと思います。
優勝者には、"兼ね揃える" ということが求められる。

2位のアムランさんは、3日目のFinalをライブで聴き、これは優勝するのでは?と驚きました。
彼の音楽性は非常に高く、また幅広く、「音が生きている」と思いました。
彼の音楽に吸い込まれそうになりました。

3位のKATEさん。
この方は、私の中(願望)での優勝候補だったのですが、やはり、上位二人と比較すると、
"優勝者" としては、あともうひとエッセンスが必要だったのかもしれません。
音の質、響き、クリア感は、私は最も好きでした。

4位のエリックさんは、3位のKATEさんと同様、同じような音の綺麗さで、同じ位置に選ばれるだろうと思っていました。
後から分かった事ですが、3位のKATEさんと同じ学校で、同じ先生に師事されてました。
弾き方、音色が非常に似ていたように思いました。

コンクールというのは、終えてからが本当の勝負と言われています。
今後の活躍を期待したいです。


10月21日~23日の、入賞者のガラコンサートも楽しみです。