救われないだけ?…な「悪人」 | 鯖が行く!ゴルフ(+camp +ski +Diving)あっちこっち

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文庫本では上下二巻で一応長編の部類のようですが、読みやすくて

展開も気になってか、あっという間に読めてしまう作品でした。

でもね…

 

「悪人」 吉田修一(朝日文庫)

吉田修一 悪人 上下巻セット (朝日文庫)

 

≪内容紹介 from amazon≫

九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られた。ヘルス嬢を真剣に好きになり、祖父母の手伝いに明け暮れる日々。そんな彼を殺人に走らせたものとは、一体何か―。

 

映画化されているベストセラーであり、映画は見てないけど妻夫木聡&深津絵里ペアでの作品なのはなんとなーく知っていた状態で読みました。

ただまあ結論からいえば、なんだかなあーな物語でした。端的いってイマイチ。映画はどうアレンジされてるのか気になりますが。

 

どうして主役の裕一くんが殺害にいたったのか、そのあたりの謎ときが軸となっているものの、それが物語の核心ってわけでもなく、終盤の結構前にそのあたりは明らかになります。後半での逃亡劇からの物語といってもいいのかもしれません。

 

が、けっこう地味に物語の幕は下りるし、後日談的なところもなんだかパッとしません。ひたすらに裕一くんが哀れであり、みじめであり、誰一人救われないままです。ここまで抑えに抑えた結果がそれかよ、っていう悪い意味で裏切られました。

 

基本登場する人が皆イタイ、悲しい状態であり、それがかなりリアルにねちねちと描かれている点は上手いなと思うのですが、そんな市井の人々の描写ばかりではなんだか読んで得られるものがなさすぎてつらいです。

 

ものすごくディティールがあって、すごいんですけども。でもそっちのすごさだけを求めて本を読んでいるわけでもないので。

 

てなわけで、鯖的にはかなり残念なお話でした。一気に読めただけ価値があるのかもしれないけど、ライブラリーに加える必要はないかな…。

 

鯖評価 ★☆☆☆☆(星1つ)