私が先輩からアドバイスを受け、そこからずっと心に置いている言葉があります。
高橋さんから指導いただいた言葉なのですが、「患者様と接する時は演技をしなさい」という言葉です。
自分の性格は穏やかタイプではなく、どちらかというとハキハキ物事を進めたいタイプな気がします。
自分が接客を受ける側の時もある程度リードしてもらう対応の方がしっくりと合う気がします。
私は見るからに癒しの雰囲気が出る柔らかいタイプでもないので、女性らしい柔らかい雰囲気の方に憧れさえありました。
入社したばかりの時は、「患者様に伝えたい。ガッカリさせたくない。」という思いから、私なりに患者様と一生懸命に向き合ってきました。ですが、今思えば一方的に伝えていた部分もたくさんあったと思います。「威圧的な感じがした」とお叱りをいただいたこともあります。真摯に向き合っていたつもりだったんだけどな…と落ち込む時もありました。
そんな時、高橋さんから「自分の地の部分だけではなく、時には演技をすることも学びなさい。」という言葉でした。その時の私にはガツーンと響きました。
きっとどこかしらに自分の素の性格のありのままが出ていたのでしょう。
患者様にはたくさんの方々がいます。色々な不安や心配事を抱えて治療を受けている患者様には不安に寄り添ってくれるような穏やかな空気が安心する方もたくさんいるはずです。
本当の接客は色んな患者様の心境に合わせて自分の対応を変えた時に初めて成り立つサービスだと気付きました。それまでの私の接客はきっとどこか独りよがりだったのだと思います。
高橋さんのアドバイスの後から、自分が思っているより何倍もゆっくり話すように心掛けたり、患者様の気持ちを確認するタイミングを増やしたり、自分が思っている以上に微笑むことを大切にしたり、例え患者様にとってプラスの状況でないことを患者様がしていたとしても、患者様の気持ちはどうだったのか?と考えるように意識してみました。
まだまだ全てを演技しきるのは難しい時もありますが、「いけない、いけない。」と振り返るくらい私にとって転機の言葉でした。
つい最近、高橋さんが「星野ちゃんの接客変わったね。」と言って下さいました。本当に本当に嬉しかったです。何より自分のことをここまで見ていて下さる方がいることが嬉しかったです。
アドバイスしてくれたことも覚えてて下さったんだなぁと思うと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
人には転機になる言葉があるかと思います。私にとって高橋さんが教えてくれた接客の本質を解く言葉は、人生の中で忘れない言葉になると思います。