『生まれたことが犯罪!? トレバーノア』
この本を読んで、色んな思いが溢れている。
言語化が難しい。アクション映画を見ているようであり、ヒューマンドラマを見ているようでもあり、またドキュメンタリーを見ているようでもあり。厳しい現実をユーモアに変換する重要性を学んだり、ときに大きく感情が揺さぶられたり。
生まれる環境は選べないけれど、人生において選択の自由はある。トレバーが母親から教えてもらったことが、彼の人生に大きく影響しているのは間違いない。かくいう他人である私も自分の捉え方しだいで、こんなにも景色が変わるものなのかと大変感銘を受けているのだ。
印象的なセリフ①
わたしがあんたを選んでこの世界に連れてきた。あんたの身体と魂と知性にちゃんと栄養を与えるのが私の仕事
印象的なセリフ②
(母親に)adidasが欲しいといえば4本線の〈アビダス〉という偽ブランド品を買ってきた。
(トレバー)『偽物だよ,線が4本もある』
(母親)『ラッキーね1本おまけされたのね。』
印象的なセリフ③
黒人の子に白人のすることを教えて何になるの?この子は一生ここにいるのに。世の中を見せたってどうにもならないよ。
この子が一生ここから出ることがないとしても、ここだけが世界じゃない、とわかるようになること。それさえ成し遂げれば私は十分。
だからこそ、トレバーは環境のせいにせず、
『ないない尽くしで暮らしてきたけど、僕たちにはいつだって教会があったし、本と食べるものは、いつもあった。』
という風に肯定できたのだろう。
それから、命の危機ともとれる場面において、走行中のミニバスから飛び降りた事について、想像以上の衝撃や痛みがあるのだから、アクション映画でよく見かける車から飛び降りるシーンはありえないと言及している。そもそも、そんな映画のシーンみたいな事が日常にあるなんてありえないのだが、確かにそうかもしれないなと笑った。
同じ人間なのに、生まれた場所でここまで日常の前提が違うのかという衝撃を読み手に与える本だと思う。銃声や暴力が日常の背景音みたいにあること、犯罪が生活インフラの一部になってしまっていること、混沌の中でも人は笑い、恋愛し、パーティーし、生きること。
最後の方には母親が命の危機にさらされた事に触れており、とてもヒヤヒヤした。
失ってほしくない!強く思った。
何とも言えない気持ちになった。
理解しきれないけど、現実なんだと知らされて、これまで無難に生きてきた自分の人生が何だか薄っぺらいものに感じてしまった。
私はいま〈正しさ〉というものが一体何なのか考えている。