映画「風立ちぬ」を最後に、宮崎駿監督は長編映画から引退した。
宮崎さん、自分が作った映画で初めて泣いたという。
僕もこの作品、公開してわりと早い時期に劇場で観た。そして、「良かったなぁ」と、何となく思った。
その良さや感動を雄弁に語ることはできなかった。僕は映画やアニメは好きだけど、どうにもうまいこと感想を言えない。
本書のような、作品を語ってくれる本は、僕にとっては大変ありがたい存在だ。
岡田さんの語りを読んでの率直な印象としては、「ああ、ここまできっちり読みとれていないなぁ」というもの。
堀越二郎という人物の特殊性。
菜穂子との恋愛のいびつさ。
宮崎駿が何故、この人物をこのように描いたか。
この作品を、「宮崎監督の最高傑作」と言う岡田さんは、画面の隅々、1カット1カットを綿密に観た上で語りつくしている。
ああ、こんな深い話だったのか。
別に「良い話」でも「キレイな話」でもなくて、堀越二郎という未完成で変わった人物を通して、人間の業(ごう)を描いていると言いますか・・・
とにかくもう1回、しっかり観なければと思った。
この作品の感想として、僕は「純文学の小説を読むような空気」と、ここで書いた。
その感覚、あながちズレてはいないと、本書を読んで思った。
ジブリ作品や宮崎作品のファンからは賛否両論があるらしいけど、僕は好きなんですよね。
岡田さんの分析に完全に共感するわけじゃないけど、「人間」を描いた芸術として、何回も観返したい作品かと。
宮崎さん、ここが一つの到達点だったのかなぁ。。
こういう大人向けの作品、悪くないと思いますね。
本書では、宮崎駿・吾朗という親子関係についても触れていて、それがまた面白い。
吾朗が監督した『ゲド戦記』の話は興味深かった。岡田さんは、作品としては失敗と評しているけど。
これももう1回観たいなぁと思っていたら、今度の金曜ロードショーでやるみたい。前とは違った感覚になるかもしれないので、観てみようと思います。
- 『風立ちぬ』を語る 宮崎駿とスタジオジブリ、その軌跡と未来 (光文社新書)/岡田斗司夫 FREEex
- ¥777
- Amazon.co.jp