「月に向かって打て」 | 流れに任せて雑然と

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今日は「中秋の名月」。


帰り道、夜空にとても美しい満月が出ていた。スバラシイですね。天気良くてラッキー♪


徳島で住んでいた頃は、田舎で街灯も少なくて、月明かりを感じながら夜道を歩いた・・・ちょっと思い出しました。



もう1つ思い出したのが、「月に向かって打て」という言葉。


プロ野球史上に残る名言です。


昭和40年代の話。後に2000本以上のヒットと400本以上のホームランを放った名選手・大杉勝男さんがまだ売り出し中の若手だった頃。


スランプに苦しんでいた大杉選手に、飯島滋弥・打撃コーチがアドバイスした。


「月に向かって打て」と。



大杉選手は、豪快なフルスイングが魅力のホームランバッター。


でも、調子が悪いときは、「打たなければ」という気持ちが強くなって、スイングが小さくなってしまい、ますます自分の打撃ができないという悪循環に陥って・・・


その試合でも、当てに行くというか、何とかうまく打とうとしてフルスイングできず、ライト方向への打球での凡退を繰り返していた。


試合の終盤、飯島コーチはレフト上空の月を見上げながら、「大杉、あの月に向かって打て!」と言った。


本来の、スケールの大きい豪快なバッティングをさせるために。


「自分のバッティングをしろ」とか「強くスイングしろ」とかじゃなくて、「月に向かって」と。


この言葉が、大杉選手が本来のスタイルを取り戻し、スランプを脱出するきっかけとなったという伝説。


古き良き時代のプロ野球を感じさせる、ロマンティックなお話。


大杉選手が明るく豪快で、愛されるキャラクターだったことも、この話を伝説にした理由だろう。いかにも大杉っぽいというか・・僕もこのエピソードは夢があって好き!



そういうロマンと同時に感じるのが、「言葉の力」というものです。


このコーチは、どういう言葉を用いれば、選手にうまく伝わるかを考えたと思う。


大杉選手の性格やそのときの状態を見て、「月に向かって打て」という何とも情緒的な表現をチョイスしたのだろう。


これ、他の選手だったらうまく行ったかは分からない。クールな選手なら、「何を言ってんだ」となったかもしれない。


まさに大杉のための「魔法の言葉」だったということ。


同じことでも、表現によって伝わり方が違う。


「言葉の力」って凄いし、重要だなぁと。



最近、このエピソードについて、以前より深みを感じるようになったと思っている。


38歳という年齢で、社内でも後輩が増えている。


部下を持つという立場も身近に意識する時期になってきた。


アドバイスというような指導的なことでなくとも、伝えたり教えたりというケースは増えてきていて、「言葉の力」を考える機会もあるのです。


ロマンチックな言葉を使ってやろうという気はなくて。


相手の性格や状態に合わせて、適した言葉を使えるように・・・


いや、それは極めて難しいとして、逆の「不適切な言葉」を使わないようにできれば。


そのためには、言葉巧みになることではなく、相手を思いやることが一番なんでしょうなぁ。


飯島コーチと大杉選手の間には強い信頼関係があって、そのベースがあったからこその言葉という気もする。結局大事なのはそういうことかなぁ。



夜道を歩きながらそんなことを想う、中秋の名月でございました。寝ます。。。