村上春樹 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 | 流れに任せて雑然と

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ミーハー根性丸出しで、GWに読んでみた!


今の時期に、この本を取り上げようっていうのは勇気がいるねえ・・・


おそらくネット上で、賛否両論、しかも極端に好き嫌い分かれて議論されているかと。


良かった・悪かった、どっちの感想も肯定・否定、激しく分かれるんだろうなぁ。



最初に断っておくけど、僕は村上春樹の小説は、初期の頃の作品しか読んでおらず、熱心なファンではない。


そういう読み手のワタクシ、この小説、「良かった」派です。


ネタばれを最小限にして(新聞とか雑誌の紹介文で出ている程度まで)、軽く所感を述べます。



ざっくりとストーリーを言うと、、、


多崎つくるは、名古屋の高校で、とても仲が良い完璧に調和した5人のグループに属していた。


つくる以外の4人の名には、色を示す言葉が入っており、男2人は「アカ」、「アオ」と呼ばれ、女2人は「シロ」、「クロ」と互いを呼び合っていた。


高校卒業後、つくるのみ名古屋を離れて東京の大学に進学したが、長期休みで帰省すれば必ず元の5人で集まり、完璧な調和は保たれていた。


だが、2年の夏、急につくるは4人から絶縁される。思い当たる節もなく、あるとき突然・・・


つくるはとてつもない孤独に追い込まれ、そこからは「死」のみを考えて、半年あまり暮らす。


しかし何とかそのピンチを脱し、この事件と折り合いをつけ、大学卒業後はかねてから希望していた駅を設計する仕事につき、36歳まで生きてきた。


そして出会った沙羅という新しい彼女から、16年前の絶縁の理由をさぐり解消すべき、そうしないと次へ進めないと指摘され、彼は4人に会いに行く。いわば「巡礼」の旅に出るのだ・・・



こんなストーリー。


つくるくんの、心の動きをずっと追って行くお話。


わりとシンプルな展開だと言える。


彼は高校の頃からずっと、自分の名に色彩がないことで、自分は色のない、特徴や個性のない人間だと思っていたこと。


また、4人の仲間から絶縁された事件に対し、自分では折り合いをつけていたというつもりだったのに、実は違ったこと。


彼を作り上げている大きな二つの要素が、巡礼の旅を通じてどう変化していくか・・・


それを、「ハルキワールド」というのかな、独特の想像力を繰り広げ、独特の幻想的な世界を覗かせながら、独特の文体で綴って行く物語です。



村上春樹の小説って、「異世界」を描いている感じで、なかなか捉えにくい印象がある。


また、美しい文体の中に駆使される比喩に、独特のクセがある。


その世界観につかるには、けっこう入り込まなきゃっていう感覚が僕にはあった。


でも、この小説は現実世界から大きく離れることはないし、比喩もわりと抑えめな感じなんで、まずは読みやすい、入りやすい感じがした。


更につくるくんが、全くの同世代ということもあって、より親近感があり・・・



そしてストーリー展開。


何でいきなり絶縁されたのか?っていう軸になるテーマがあり、ミステリー的な感じはするけれど、その謎解きが主題ではない。


つくるくんの心の動き・・・それを感じられればOKかなぁと思った。



巡礼の旅を終えた後の1章。これが良いですね。


この1章は結末部分で、最も賛否両論が分かれるところだと思う。


僕は「賛」。ここ読んでて、泣きそうな、込み上げてくる感じになったから。


巡礼の旅に出て良かったんじゃないかと思えたし。


「読んで良かったなぁ」と素直に思えた。。。


あくまで僕の所感。嫌い、面白くない、合わないといった声も理解できるけど、僕は「良かった」派です。



多分、読み込みとしては浅いだろう。


もっとじっくり、細かく丹念に読んでみたいとも思う。


でも小説って、たとえ浅くとも初読の感覚こそ大事な気がする。


テクニカルの部分とか、解釈とか、あれこれと考えるのも面白いけど、「物語を楽しめた読書」っていうことで十分じゃないでしょうか。


さて、自分の感覚を残したまま、ネット上で展開されているであろう議論も見てみるかな・・・


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