ソ連崩壊・東欧の民主化に伴う ナショナリズム(※民族主義) の高まりは、
必ずしも、良いことばかりではありませんでした。


『アルカン』こと、ジェリコ・ラジュナトヴィッチ (1952~2000) の率いる民兵組織『セルビア義勇親衛隊(※アルカンの虎)』は、自前の戦車も保有し、最盛期には1万人規模の構成員を有していた。
内戦では、ユーゴスラビア軍の隷下に入り、ボスニア、クロアチア、コソボで住民に対する虐殺行為を行ったことで世界に悪名を轟かせた。


ユーゴスラビアの解体は、10年に渡る泥沼の内戦と民族浄化(※ジェノサイド) という悲劇を招き、
武力紛争が終わった後も、セルビアとコソボとの対立は続いています。




2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻より前から、
プーチンに心酔するセルビア人傭兵がウクライナの親ロシア派武装勢力に加わっていました。



セルビアは、国家としてはロシアによるウクライナ侵攻を積極的に支持していませんが、
セルビア国民のなかには、正教徒・スラブ民族としてロシアとの同胞意識を持っている人々も多く、
ユーゴスラビア紛争で西側諸国(※NATO) に けちょんけちょんにやられた恨みから『特別軍事作戦』に支持を表明する人々も少なくありません。

連中の理屈では、今のウクライナは西側諸国の傀儡である『ネオナチ政権』に支配されており、
そこで虐げられているロシア系住民を救い、同じスラブ民族であるウクライナ人も解放するのだというのが、この戦争の『大義』であり、それを信じて疑わないわけです。

しかし、それは自分自身の残虐行為を勝手に『敵』に投影していただけに過ぎませんでした。

 



2014年3月14日、クリミアがロシアに併合された後に行われた世論調査の結果 (※国際的な市民活動団体AVAAZの委託で市場調査会社GfKがウクライナ国民2000人に対し携帯電話で実施した) においても、

ロシア軍の撤退を求める意見は、ウクライナの西部と、ロシア語を母語とする人々が多い東部地域との間に大きな差はありませんでした。


更に、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降は、

2014年の時点でもロシアに対して親しみを感じていた人々も、ロシアに対する認識を改めざるを得ない状況となりました。


ウクライナのナショナリズムというのは、ウクライナ語を母語とする人々以外も含めた『ウクライナ国民』によって支えられている点において、ネオナチとは根本的に異なるのです。

 

【アゾフはネオナチではない】



アゾフ特殊作戦分遣隊が、自警団(※アゾフ大隊) として創設された時のリーダーであったアンドリー・ビレツキー氏は、確かに白人至上主義思想の持ち主であり、
引退後は、政治活動へ転身した後も創設時のメンバーが中心となって組織された 極右政党『ナショナル・コープス [Національний корпус]の代表であるものの、
ビレツキー氏をはじめとする部隊(※アゾフ大隊) 創設時のメンバーと、内務省国家親衛隊所属のアゾフ特殊作戦分遣隊とは、名称や意匠が類似していても性質が異なるものであります。


ネオナチとして中傷される根拠としてロシアに利用される『日輪』の意匠が入ったエンブレムについても、既に過去のものであります。

現在のアゾフ連隊では、2015年を最後に公式には使用されていないことが、その後の取材や Wikipediaのアゾフ連隊の記事が更新されたことによって明らかになりました。



アンドリー・ビレツキー氏  (1979~ )




ナショナル・コープスは、日本の国会にあたる ヴェルホーヴナ・ラーダ[Верховна Рада] に議席はなく、
ビレツキー氏自身も、2019年の大統領選挙に立候補したそうですが、泡沫候補扱いで、あまり注目されていませんでした。

現在、ビレツキー氏をはじめとする創設時のメンバーの多くが 政治活動に転身したことにより、
アゾフ連隊としての任務を継続することが法的に不可能となり、現役を退いています。

彼等が、現在の内務省国家親衛隊所属のアゾフ連隊に、思想的な影響力を行使できる立場にはないのです。


アゾフ連隊の司令官である マクシム・ゾリン氏は、日本のテレビ朝日の取材にも丁寧に答えていますが、
そこには、ロシア側のプロパガンダにあるような『ネオナチ』のような過激思想は確認できませんでした。

元々、初代司令官のビレツキー氏も東部ハルキウ(※ハリコフ) 出身者であり、創設時のメンバーの多くがロシア語を母語とする人々が多い地域出身のウクライナ国民であり、創立時は元ジョージア軍人がアゾフ大隊の軍事顧問に就いていたことからもわかるように、
ロシアによる侵略に抵抗するために立ち上がった彼等は、ウクライナの愛国者(※ナショナリスト)に違いはありませんが、ロシアのネオナチ組織や、旧ユーゴスラビアの『アルカン』のような暴戻な虐殺者になりようがないのです。


現在、国家親衛隊の隷下にある現在のアゾフ連隊は、創設時に中核となっていたメンバーの多くが除隊し、様々な人種にルーツを持つウクライナ国民の入隊により、隊員の層が入れ替わったことと、
内務省所属の、謂わば『警察組織』の一員となっているアゾフ連隊からは、ネオナチや過激思想は自然淘汰されていることを理解しなければなりません。

ウクライナでは、共産党とともにナチズムも非合法であり、過激思想が公務員のなかに入る余地はなく、
仮に、軍人や警察官のなかに極右思想のシンパが少数紛れ込んでいたとしても、それはウクライナだけに限った問題とは言えません。



【国民国家と民族主義】

ウクライナは、自由と多様性を尊重し、民主主義が機能している模範的な国民国家であり、
決して、偏狭な民族主義や原理主義的な宗教によって支えられているわけではありません。

国民も、民族も、英語では どちらも [national] となりますが、必ずしも民族と国民が同一のものであるわけではありません。

そもそも、民族が純血である保証など存在しないのです。

民族という括りで特定のグループを差別することは、如何なる形であっても許すべきではありません。

 

  



一見すると、少数民族を尊重しているかのように見える政策であっても、平成31年4月に 公明党主導で制定・公布されたアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律は、
税金乞食と密漁者に特権を与え、同じ日本国民として生活しているアイヌを堕落させる悪法でありますし、

プーチンと その信奉者が主張する『兄弟愛』とやらもまた、
耄碌した毒親が、金切り声をあげながら手前の汚物にまみれたオムツを振り回して暴れまわる姿と同じです!!

国民国家として自立しているウクライナを、破綻国家の独裁者が再び支配下に置こうなどとはおこがましい限りです!!





   


 

 



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