NHK大河ドラマ『光る君へ』で紫式部がどのように描かれるのか | よどの流れ者のブログ

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『源氏物語』『紫式部日記』『紫式部集』の著作者 紫式部について考えたことを書きます。 田川寿美のファンです。

 

上の写真は廬山寺です。今の京都御所の北東部近くにあります。紫式部が住んでいた住居跡に建てられた寺だそうです。

 

紫式部が幼い頃に母親が亡くなり、彼女の少女時代に姉も亡くなります。彼女が頼りにしたのは父親だったようです。

 

物覚えのよくない男兄弟(藤原惟規=弟?)に比して、「あやしきまでぞさとくはべりしかば、書に心入れたる親は、『口惜しう、男子にてもたらぬこそ幸なかりけれ』とぞ、つねになげかれはべりし」と『紫式式部日記』に自ら記しているのは、父親のそばでよく学び、学んだ書について質疑応答のようなことが頻繁に交わされていたということではないでしょうか。

 

男尊女卑が当たり前の当時にあって、女性が書を学び、広い知識を持っていることを揶揄する者が多くいたことを彼女は記しています。そうした雑音の嫌いな彼女は慎重な言動に終始しますが、そのような問題のあったことを『紫式部日記』にしっかりと書き留めています。彼女の心の奥には学問をしないでも出世する男たちのいることに対する憤りがしっかりと根付いていたのではないかと私は思っています。

 

『源氏物語』でも学ぶことの大切さと、身分だけで出世することの弊害を、光源氏の息子を通じて活写しています。

 

NHKの次の大河ドラマは紫式部が主人公です。私にとっては待望していたことで大いに期待したいところですが、NHKの広報を見て不安を募らせています。

タイトルは『光る君へ』で、「このドラマ全編を通じて、ときに惹かれ、ときに離れ、陰に陽に強く影響し合うソウルメイト【藤原道長】への、紫式部の深くつきることのない想いを表します」(NHKホームページから)と広報されています。

 

『源氏物語』『紫式部日記』『紫式部集』をよく読めば、藤原道長を紫式部がどのように思っていたかよくわかると私は思っているのですが、もちろん人がそれぞれの解釈で異なった推測意見を持つのは自由なことで、そのことを批判するつもりはありません。ただ、先入観念や思い込みやためにするようなことでなく、紫式部の著作に寄り添って、彼女のほんとうの気持を知りたいという気持がまず必要ではないかと思います。

 

このブログでは紫式部の著作を検証しながら、NHK大河ドラマ『ひかる君へ』で描かれる内容について思うところを書き記していきたいと思っています。