続々淀から | よどの流れ者のブログ

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『源氏物語』『紫式部日記』『紫式部集』の著作者 紫式部について考えたことを書きます。 田川寿美のファンです。

 

マンションからは京都の西山も見えます。正面の山は天王山です。麓の淀川を挟んで石清水八幡宮のある男山があります。大坂(左の方角)へ行くには昔から陸路、水路を問わずこの辺りを通ります。平安京のメインストリートだった朱雀大路は今はありませんが、そのあとを今は千本通が南北に淀の納所まで続いているので、大坂との交通の要路となっていたのでしょう。

 

大坂だけでなく奈良へ行くのもこの辺りを通ったようです。『枕草子』114段(岩波文庫版)に「卯月のつごもりがたに、初瀬にまうでて、淀のわたりといふものを・・・」とあり、清少納言もこの地の風景を見たことでしょう。ただし、桂川、淀川、木津川が合流するこの地点付近では、それぞれの川はその流れを付け替えしているので景色はかなり違ってはいたものの、西山の山並みはそんなに変っていないのでは。

 

『源氏物語』には住吉神社で源氏と明石の上が遠目に邂逅するエピソードや源氏の流刑地須磨や明石での出来事を紫式部は記していますが、この地を通ってそれらの地を彼女は訪れたことがあったのでしょうか。それとも彼女の父は彼女が生まれる前に播磨国に赴任した経歴があり、父親から聞いた話などを基にしたことなのでしょうか。