【追憶】東武東上線8000系 | ヒロンカー鉄道ブログ

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皆さん、こんにちは。

 

今から5年前の2015年(平成27年)1月17日、なんの日だったか皆さん覚えていますか?

 

東上線ユーザーまたは東上線に詳しい鉄道ファンの人なら覚えているはず…(笑

 

 

そうです。東武8000系が東武東上線池袋口(池袋駅−小川町駅間)から勇退した日ですね。

 

かつての東武鉄道では、上の写真のように白地(ジャスミンホワイト)に青帯2本(ロイヤルブルーリフレッシュブルー)を巻いた車両が当たり前のようにたくさん走っていました。

それが近年ステンレスの車両の台頭によって徐々に数を減らしていき、気が付けばこの塗装を保った8000系は東上線ではもはや異端児的存在となってしまいました。10両1編成という状態にまでなりながらも、最後まで貫禄のある力強い走りを見せてくれましたね。

 

 

🚃東武8000系について解説🚃

 

8000系は、東武鉄道沿線人口の急増による乗客増への対応と、旧型車両の置き換えを目的に、1963年(昭和38年)に登場し、以後1983年(昭和58年)までの約20年間にわたって712両が製造されました。車両数の多さおよび製造年数の長さから、同じく1963年から約20年間にわたって3,000両以上が製造された国鉄103系になぞらえて“私鉄の103系”と言う異名が与えられました。この712両という数字は、日本国有鉄道(国鉄)→JRグループ各社を除いた鉄道会社では最多両数となります。

前述の通り製造車両数が多すぎたため、車両番号の枠が本来の4桁では収まりきらなくなってしまい、5桁の車両番号を持つ車両(通称:"インフレナンバー")が数両登場しています。

それらの車両は、たとえばクハ(運転台のある車両)81120の場合「クハ はっせんひゃくの ひゃくにじゅうごう」と読みます。

 

2両、4両、6両、8両編成が存在し、ローカル線区の2両や4両、伊勢崎線の6両、東上線の10両まで柔軟な運用を組めるというセールスポイントを活かし、東武のほぼすべての路線で活躍しました。2020年(令和2年)現在でも一部のローカル線区で活躍しています。

 

塗装は、登場時はロイヤルベージュインターナショナルオレンジのツートンカラーでした。のちにセイジクリーム単色に変更され、1985年からは現行のジャスミンホワイトロイヤルブルーリフレッシュブルーの2色の帯を巻いたものに変わり、それ以来8000系の標準カラーとして親しまれてきました。

ちなみに1990年代までに生まれた人ならば、今でも東武の色=白地に青帯というイメージを思い浮かべる人も多いんじゃないですか?^ ^

僕もそのうちの一人です。

 

登場から20年以上経った1986年(昭和61年)からは、車両の延命化や旅客サービス向上を目的に、修繕工事が施工されました。車両前面を中心に細部が変更され、同じ8000系でも随所に違いが見られるようになり、面白さを感じるようになりました。

 

僕にとっても東上線の8000系にはそれなりの思い入れがあります。

子どもの頃に母の友人宅や叔父の家へ遊びに行くとき、高校時代の通学には毎回東武東上線を使っていました。その時は8000系がたくさん走っているのを目の当たりにして、乗るときもほぼ毎回8000系に乗っていました。池袋駅から発車するときのブレーキ解除音(「プシーーー!!」)も印象強かったです。本当に子どもの頃が懐かしいなぁと思わせてくれる車両のひとつなのです。

 

 

… 外 観 ・ 車 内 …

 

2011年(平成23年)7月1日から制定された新ロゴ・マークは、8000系にも貼り付けられました。

 

修繕工事をされたとはいえ、昭和のクオリティをしっかり残した古めかしい車内。クリームの化粧板に黄土色の床、緑色のロングシート、黄色い扉。

今では4ドア20m車両の両端は3人掛けが当たり前です。4人掛け優先座席は今では珍しくなりましたね。

 

7人掛けロングシート。二段式窓(通称:"田窓")もどことなく懐かしさを感じさせられます。

 

 

… 東武東上線での活躍 …

 

東武東上線では10両編成を組成して、普通列車から急行列車まで幅広く活躍していました。

2014年(平成26年)11月時点では、8両の8175編成(池袋寄り)と2両の8506編成(川越・小川町寄り)を連結した10両1編成が残るのみとなっていました。

 

8175編成は1977年(昭和52年)に製造され、2014年の時点で勤続37年のベテランでした。修繕工事の際に方向幕が3色LED化されて、撮るときにLEDが切れてしまい「どこ行きだっけこれ?」って思うこともありますが実際は「 普通 池袋 」行きです(笑

 

8506編成は1965年(昭和40年)に製造され、8175編成よりも大ベテランです。方向幕は最後まで幕式で残り、昭和の懐かしさを感じられました。

 

川越駅に進入する姿も今はもう見られません。貴重な1枚となりました。

 

昼夜関係なく、老体に鞭を打つように池袋駅−小川町駅間という長い区間を何度も往復しました。

 

2013年(平成25年)3月からは、同月のダイヤ改正で誕生した快速運用に入ることもありました。

「出会えたらラッキー!」って感じでした(笑

 

ちなみに2011年(平成23年)6月30日までは、原型顔を保った車両(通称:"丸目"編成)も走っていました。

東武8000系はもともとこの顔で製造されました。1986年から始まった修繕工事に伴い、仲間の編成が順次顔が変わっていくなか、写真の8111編成は原型顔を保った数少ない編成のうちのひとつです。気が付けばこの8111編成が残るのみとなっていました。

運行最終日の3日間は、前面にヘッドマークを取付けた状態で一般の営業運転に入り、沿線を活気付けました。

 

そういえば、2014年(平成26年)のゴールデンウィークにはセイジクリームとツートンカラーを連結した編成が走り、注目を浴びましたね!

 

ロイヤルベージュインターナショナルオレンジのツートンカラーに復元された原型顔の8111編成も、2011年6月30日の引退以来約3年ぶりの東上線走行となりました。

8111編成は、東上線から引退したあとは東武博物館が所有する車両として動態保存され、稀に東武鉄道管内の団体専用列車で運行されています。

 

2014年11月に開催された「東上線 森林公園ファミリーイベント2014」では原型顔の8111編成をセンターとした8000系の展示会&撮影会が行われました。

 

 

… 東武東上線からの勇退 …

 

半世紀以上にわたって、東上線の輸送を支え続けた8000系。しかし、長年酷使し続けてきたことによる車両の老朽化は激しく、新型の50000系列や伊勢崎線(本線系統)から転属してきた30000系の台頭によって置き換え廃車が進みました。

さらに東上線では、安全性向上という名目で2015年(平成27年)からATS(自動列車停止装置)からATC(自動列車制御装置)へ、新しい運転保安システムへの導入を進めることになりました。これに唯一対応できない8000系はとうとう東武東上線から勇退することになりました。

 

 

そして、2015年(平成27年)1月17日...

 

さよなら運転を迎えました。

この日を以って8000系の東武東上線池袋駅−小川町駅間での営業運転、そして10両編成で走る姿は見納めになりました。

 

最終日は団体専用列車「ありがとう8000系8175+8506編成Finalツアー」として池袋駅→小川町駅→森林公園駅というルートで運転されました。

 

僕は武蔵嵐山駅で撮りましたが、大勢の撮り鉄さんに見送られながら去ってゆく8000系の寂しそうな姿を今でも鮮明に覚えています。

線路上からいなくなっても、僕らの心の中ではこれからも走り続けるんだよね、そう感じた瞬間でもありました。

 

なお、東上線ワンマン区間(小川町駅−寄居駅間)および越生線では、引き続き8000系の勇姿を見ることができます。

 

他にも6両編成であれば、東武8000系の東武野田線(大宮駅−柏駅−船橋駅間。通称:東武アーバンパークライン)で見ることができます。未だ数本が活躍しているので、8000系を懐かしみたいと思う人は是非行ってみてはいかがでしょうか^ ^