由基はひとり家路についた。
昨夜は、まさかひとりで帰ることになろうとは
想像もしていなかった。
麦子の側についていてやりたかった。
由基は、森川とのやり取りを思い出していた。
雄三郎が倒れたこともあり、今夜はふたりとも
屋敷に泊まるつもりだった。
だが森川は、何度異論を唱えても、
由基は自宅に帰るようにと、もっともな理由をつけて
促してきた。
確かに、じいさんが入院などしておらず、
屋敷にいたならば、自分が屋敷に泊まることは
ないだろう。
表向き、今日は可愛い孫が帰国したのだ。
じいさんが可愛い孫の麦子を屋敷に留まらせることは
当然といえる。
でも、実際じいさんは屋敷にはいないのだ。
なぜ自分が、追い出されるような目に
遭わなければいけないのか‥
マスコミが紫堂家に何かあったのでは‥と
騒いでいたとして、今夜、自分が麦子と一緒にいることが、
なぜああも頑なに麦子のためにならないと言われるのか‥
やはり納得できそうもない。
マスコミは、自分と麦子のことを半ば容認している
ようなものなのに。
何かがおかしい?
気のせいか・・・
こうしてひとり冷静に考えるてみると、
疑念は増すばかりだった。
~~
麦子は、自分の部屋の真向かいにある
由基の部屋にいた。
実は屋敷に着いて、当然のように自分の部屋で
しばらく休んでいたのだが、その時は、
由基が一緒にいてくれた。
前回帰国してから、5ヶ月経っていた。
雄三郎のことは心配だが、由基と会うのは5ヶ月ぶり。
夕食までの間、麦子は由基の肩にもたれ掛かりながら、
大学の話や研修先の話‥それこそ思いついた順に
由基に聞かせた。
由基は微笑みながら聞いてくれた。
たくさん話したいことがあったはずなのに‥
上手く話せなかった。
突然、黙って俯いてしまった麦子の手を、
由基は握り直しながら、顔を近づけた。
「麦子」
「・・・」
「麦子」
「由基、あのね」
麦子が由基に言葉を続けようと顔を上げると、
ちゅ‥
由基が優しくキスをした。
「会いたかった」
由基が、麦子の額に自身のおでこを合わせながら
こう囁くと、麦子は由基に抱きついた。
ふたりは邪魔が入るまで、しばらく離れずにいた。
(邪魔=周平です‥何を隠そう、こんな周平が好きなもので)
麦子は、由基を見送った後、自分の部屋に
すぐ戻る気になれなかった。
麦子は窓際に佇み、ぼんやり今日一日を
思い返していた。
ふと、振り返り部屋を見渡しながら、
今は誰の部屋でもないこの部屋の
由基の想い出をひとつひとつ想い出していた。
明日になれば、また顔が見れるわ‥
麦子は自分の部屋に戻っていった。
~「策略」おしまい~
~~
☆誰かの策略はまだまだ続行中‥なのですが、
今回でとりあえず「完」にします。
読んでくださって感謝です。
昨夜は、まさかひとりで帰ることになろうとは
想像もしていなかった。
麦子の側についていてやりたかった。
由基は、森川とのやり取りを思い出していた。
雄三郎が倒れたこともあり、今夜はふたりとも
屋敷に泊まるつもりだった。
だが森川は、何度異論を唱えても、
由基は自宅に帰るようにと、もっともな理由をつけて
促してきた。
確かに、じいさんが入院などしておらず、
屋敷にいたならば、自分が屋敷に泊まることは
ないだろう。
表向き、今日は可愛い孫が帰国したのだ。
じいさんが可愛い孫の麦子を屋敷に留まらせることは
当然といえる。
でも、実際じいさんは屋敷にはいないのだ。
なぜ自分が、追い出されるような目に
遭わなければいけないのか‥
マスコミが紫堂家に何かあったのでは‥と
騒いでいたとして、今夜、自分が麦子と一緒にいることが、
なぜああも頑なに麦子のためにならないと言われるのか‥
やはり納得できそうもない。
マスコミは、自分と麦子のことを半ば容認している
ようなものなのに。
何かがおかしい?
気のせいか・・・
こうしてひとり冷静に考えるてみると、
疑念は増すばかりだった。
~~
麦子は、自分の部屋の真向かいにある
由基の部屋にいた。
実は屋敷に着いて、当然のように自分の部屋で
しばらく休んでいたのだが、その時は、
由基が一緒にいてくれた。
前回帰国してから、5ヶ月経っていた。
雄三郎のことは心配だが、由基と会うのは5ヶ月ぶり。
夕食までの間、麦子は由基の肩にもたれ掛かりながら、
大学の話や研修先の話‥それこそ思いついた順に
由基に聞かせた。
由基は微笑みながら聞いてくれた。
たくさん話したいことがあったはずなのに‥
上手く話せなかった。
突然、黙って俯いてしまった麦子の手を、
由基は握り直しながら、顔を近づけた。
「麦子」
「・・・」
「麦子」
「由基、あのね」
麦子が由基に言葉を続けようと顔を上げると、
ちゅ‥
由基が優しくキスをした。
「会いたかった」
由基が、麦子の額に自身のおでこを合わせながら
こう囁くと、麦子は由基に抱きついた。
ふたりは邪魔が入るまで、しばらく離れずにいた。
(邪魔=周平です‥何を隠そう、こんな周平が好きなもので)
麦子は、由基を見送った後、自分の部屋に
すぐ戻る気になれなかった。
麦子は窓際に佇み、ぼんやり今日一日を
思い返していた。
ふと、振り返り部屋を見渡しながら、
今は誰の部屋でもないこの部屋の
由基の想い出をひとつひとつ想い出していた。
明日になれば、また顔が見れるわ‥
麦子は自分の部屋に戻っていった。
~「策略」おしまい~
~~
☆誰かの策略はまだまだ続行中‥なのですが、
今回でとりあえず「完」にします。
読んでくださって感謝です。
派なんですけど、