Me and The Night and The Music ――私と夜と音楽と その21―― | Everyday People Dance To The Music

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日々人は音と共に踊る

No.021:
UFO
『Phenomenon』




UFO - Phenomenon [Full Album]

マイケル・シェンカーとウリ・ジョン・ロート。
スコーピオンズとUFOから両者のソロキャリアまでを並べて語ることで、そこに何かを見出せないかと思っていた時期があった。実際それぞれのソロの1枚目までの音盤は網羅したし、今現在でも何とかできないかとうっすら思わなくも無い……思うだけだが。

ハードロックというジャンルについては、正直それほど好んで聴いているわけではない。
定型というか様式というのは、まあ無さすぎるのも聴きづらい所はあるが、あればあったで堅苦しい。それを押し固めていく類の音楽であるハードロック、その発展形としてのヘヴィメタルには、基本的に魅力を感じないのだ(そこでツェッペリンは?と言うのは愚問である)。

先に挙げた2人のギタリスト及び彼らのバンドは、現状における数少ない例外であるが、それはひとえに彼らを最初に聴いた盤、すなわち『狂熱の蠍団』と『現象』というアルバムが及ぼした衝撃が強かったということを意味している。


UFO - Doctor Doctor

『現象』の収録曲は、その大半がマイケル・シェンカーの手によるものである。
未だ10代にして故郷を離れ、言葉もわからない異国で音楽活動を行わなければならないという状況が作用したのだ、というのは安っぽい見方かもしれないが、しかし確かにどの曲からも差し迫った哀感が覗えるようである。それは、例えばヴォーカルのフィル・モグによる歌詞、『オー・マイ』のギターソロや『クリスタル・ライト』のコーラスが不自然に浮き上がって聴こえるようなアレンジにも伝播して、心の揺らめきや不穏な感じを醸し出している。

ベースのピート・ウェイ作曲の『トゥー・ヤング・トゥ・ノー』や全員のクレジットによる『オー・マイ』の曲調から見て、恐らくシェンカー以外の3人は比較的乾いた味わいの音楽性を持っていて、そこに異分子としてのシェンカーが加わることによる化学変化が、恐らくは『現象』というアルバムを名盤たらしめている主要因であろう。

そして、何と言っても『ロック・ボトム』である。


UFO - Rock Bottom

2分を超える長尺のギターソロ、特にその後半一気にスピードが上がる部分からの盛り上がりは、ロック史に燦然と輝くものであると思う。

でも僕は、むしろそのリフこそが素晴らしいのだと思っている。1974年に作られた物とは思えない、時代を超越したオーパーツのような……いやそれこそUFOのような。
古今東西のHR/HMのギターリフを、その知名度を抜きにして純粋に格好良さだけで格付けするなら、恐らく10本、いや5本の指には入ってくるのではないかと、まあこれは僕が勝手に思っているだけなのだが。

引き比べて、技量はともかく味わいだけは存分にあるヴォーカルも、如何せん地味なリズム隊も、物足りなく思わなくは無いものの、ギターの魅力を引き立てるには十分である。少なくともこの曲に関しては、シェンカーのギターが全てだ。


UFO Phenomenon 09 - Lipstick Traces.wmv

ツェッペリンは言うに及ばず、パープルやサバスといったモンスターバンドは、最早1バンド1ジャンルといった趣があって特定のカテゴリーに収まりきらない所がある。
だから、ブリティッシュ・ハードロックで1つと言われたら、僕はまずUFOの『現象』を選ぶ。と言うより他に選びようが無い。

その、他に選びようの無いバンドの、主要人物がドイツ人であるというのもまた味わい深い話であると思う。