Me and The Night and The Music ――私と夜と音楽と その12―― | Everyday People Dance To The Music

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日々人は音と共に踊る

No.012:
L'Arc~en~Ciel
『ray』



【 MAD 】 FF10 × 死の灰

1999年。
僕は高校生だった。その最後の年を過ごしていた。
多少ならず乾燥してはいたけれども、決して無味ではない、いや我ながらなかなかに味わい深い青春時代を謳歌していたと思う。
ただ、もうおぼろげにしか浮かび上がってこないその記憶の中において、それでも決定的に不足している要素がある。

あの頃の僕には、ロックが足りなかった。

僕にとっての音楽とは、ヒットチャートとドラマの主題歌、それがほぼ全てだった。
ナンバーガール、くるり、スーパーカー……彼らの曲をオンタイムで聴くことができなかったのは、とりもなおさずそれがテレビから流れていなかったということである。
たださらに思い返してみるに、それでも大学受験勉強のBGMにビートルズの青盤を聴いていた記憶はある。その辺りで何かが目覚めたのだろうが……。
ともかく、僕のこれまでの人生において1999年までの数年間は、自発的に聴く音楽を選ばなかった唯一の期間であると言えるのかも知れない。

そして、ロックが足りない僕が聴いていた数少ないロックの一つがグレイであり、そしてラルクだった。


HYDE Y GLAY.flv

彼らがロックなのか、ということに関しては様々な意見があると思うが、僕はそのような問いとは一切関係の無い所で彼らをロックとして聴いてはいなかった。
つまり、単なる流行の音楽というだけだったのだ。

それでも、一目一聴で陰陽好一対とわかる二組は、あの頃確かに時代を牽引していたし、恐らく当時の僕もそういう意識で聴いていたと思う。
そして彼らの曲は、未だに僕の中に刻まれている。それは、単に多感な時期に聴いたからというだけではない、確たる音楽としての強度の表れだと思う。



『ray』は、恐らくラルクというバンドのキャリアにおいて最もハードエッジな作品であり、それはつまり僕の音楽遍歴においても当時それまでで最もロック色が強かったということを意味している。
『死の灰』から『HONEY』までの3曲には完全にノックアウトされるし、その後も柔和な雰囲気があるのは『snow drop』くらいで、曲調は変われど鋭利さに満ちた曲ばかりが並んでいる。
わけても『浸食』。最初に聴いたのは学校の放送でだったと思うが、当時キングクリムゾンもドリームシアターもレディオヘッドも知らない僕には驚異的に奇怪な曲で、明らかにhydeの歌声であるにも関わらずラルクの曲だとは信じられなかった(さらに驚異的なのはそんな曲がシングルとなり、ミリオンセールスに達したということだが)。



1999年。
ロックというもの、ロック的なものを避けて通ってきた僕にとって、ラルク・アン・シエルはその数少ない接点、というよりほとんど原体験だったとも言えるかもしれない。
そのサウンドは、今の耳にも十二分にロックだ。