アラームの音に目を覚ます。
夏休みももう6日目だ。
この日はいよいよ、けーすけさん企画、裏々そらち。
そらちGFに招かれたゲスト・準ゲストで走るライドだ。
ゲスト同士みんなで和気藹々と走ろうという趣旨ではあるが、メンツ的に明らかに“走れる”人が集まっているので油断はならない。
特に、今年の私は例年になく走っていない。気を引き締めてかからねば、殺られる。
そんな密かな決心を胸に、けーすけさんと、そらちGF公式フォトグラファーである西野さんの車に総勢9名と8台の自転車を満載し、羊蹄山の麓、真狩村へ。
移動中、窓に激しく打ち付ける雨に、今日もまた雨ライドなのかなぁなどとげんなりしていたものの、スタート地点である道の駅 真狩フラワーセンターに到着する頃には晴れ間も覗くようになっていた。
車から自転車を下ろしていると、各自にIP無線が手渡される。
そらちGF本番用にレンタルしたものだが、せっかくなのでこのライドでも使っていいよとのこと。
ちなみに、西野さんも自転車乗りではあるが、今回はサポートカーと写真に専念するとのことなので、走るのはけーすけさんと私たちの8名。
無線配備に、サポートカーとイベント公式フォトグラファーの帯同。
あの、これホントに非公式ライドですよね…?
そんな万全のサポート態勢で走り出し、まず向かったのはパン屋 Boulangerie JIN(ブーランジェーリー ジン)。けーすけさん曰く、尋常じゃなく生地を織り込んだクロワッサンが一押しとのこと。
なるほど、これはすごい。
どこまでいってもパリパリだ。
軽い食感なのにしっかりボリュームがあるパンを楽しみ、再び走り出す。
今回、一眼カメラを背負って走るのはつむりさん、ko-he-さん、私の3名。
せっかくなので景色だけじゃなく走っているみんなの姿も撮ろうと思い、フォトアタックを敢行する。
が、緩斜面に入ったところでギヤを落とそうとすると、バキンと嫌な音が鳴ってペダルが軽くなった。
まさかのチェーン切れである。
メンバーには無線で先に行ってもらうように伝え、西野さんの車を待ちながらチェーンを確認すると、幸いにもチェーンそのものが切れたわけではなく、ミッシングリンクが切れただけのようだ。
ツール缶に予備が入っているので、復帰は可能。
先行するメンバーはこの先にあるダチョウ牧場に入ったとのことなので、そこまでサポートカーで移動しチェーンを復旧する。
初っ端から思わぬハプニングに見舞われたが、復帰できるなら問題はない。
合流したダチョウ牧場では、ダチョウの卵で作ったプリンを楽しむ。
クリームのように滑らかで、あっという間に消えてしまった。
さて、ここまで身構えていたわりにはゆるポタペース。
それどころか、立ち寄る先々でのんびりする上に写真撮影でも立ち止まるので、走っていない時間のほうが長いという状態だ。
さらに、天気も快晴とまではいかないものの雲の切れ間から青空が覗き、北海道滞在3日目にしてようやく私の思う“北海道らしい景色”が目の前に広がっている。
おや、これはもしかして本当にゆるポタなのでは…?と警戒を解きつつ次に向かったのはニセコ高橋牧場。
フォトスポットでひとしきり写真を撮り、店内に移動してそれぞれチーズケーキやアイスクリーム、バームクーヘンといった乳製品を堪能する。
牧場を満喫し、この先は宿に向かうのみ。けーすけさんは車を回収するため一旦ここで離脱し、ゲストのみでの走行となる。
ここから、急激にライドの様相が変わってきた。
細かな起伏はあったものの平坦基調のルートから、山岳ルートへ。
最初に飛び出したのは、山の民・篠さんだった。
それに反応してふぃりっぷさん、つむりさんも抜け出し、ko-he-さんも後を追う。
取り残されたのは、ぢろうさんとBOOBYさん、そして私。
あぁ、やっぱりこうなったかと思いながらも、極端に離れないようペースを上げる。
無線で連絡を取り合うと、どうやら先頭と最後尾では5~10分ほどの差があるようだ。
そして、無線に入るBOOBYさんリタイアの報。
ゆるポタが一転してサバイバルライドである。
なんとか最後まで食らいつくことはできたが、正直なところ、かなりギリギリだった。
ゴール地点から、宿までは車で移動する。
けーすけさんが手配してくれていたコテージに入り、語彙力を失う一同。
5分くらい「ヤバい」しか発していなかった。
想像のはるか上をいく内装と設備。
そりゃあホントにここ泊まってもいいんですかと確認したくもなる。
コテージに荷物を置いてからは、ニセコ湯元温泉 雪秩父へ。
ここもけーすけさんオススメの温泉。
浴槽の底に成分が沈殿するくらい硫黄がとても強く、湯船から上がってから体を流さずにいると1週間は硫黄のにおいが残るそうだ。
露天風呂でふぃりっぷさんやつむりさんの持つエピソードに花を咲かせながら1日の汗と疲労を流し、風呂上りには温泉たまご。非常に幸福度が高い。
夕食は倶知安でジビエを楽しみ、コテージに戻ってからは翌日の裏そらちの打ち合わせと銘打った雑談会に盛り上がる。
ふと夜空を見上げれば、言葉を失うような星空。
肉眼で天の川を見たのはいつぶりだろうか。
北海道に来てよかった。
心からそう思える、充実した一日だった。