2 世界で活躍する日本人
日本には優れた技術を持った技術者(ここでは特にパターンメーカーとします)がたくさんいらっしゃいます。そしてそのことはヨーロッパのデザイナーの間でももはや知れ渡っている事実と言っても過言ではありません。パターンメーカーには日本人を、と考えるデザイナーもかなりいる様です。これらの理由として個人的に思うのが、特に日本人の意識の中にはデザインよりもパターンメイキングに対する意識やこだわりというものをどことなく感じますし、その様な環境が当たり前な中で仕事をされていることは益々の技術の向上につながっていることは間違いないありません。一方海外(以降「海外」というのは基本的には私自身も経験のあるヨーロッパということにします)にも活躍されている日本人技術者はたくさんいます。特にパタンナーに関しては一社に一人はいると言われている程です。今となってはファッション業界に限らずとも海外で働いている人、働いた経験のある人に会うことはもはや全く特別なことではなくなりました。しかしながら実際に漠然とした海外で学びたい・働きたいという思いから実際に働けるチャンスをものにし、そして行動に移すことは相当のエネルギーが必要です。そして海外に移れば日本にいれば経験する必要のない様々な困難が待ち構えています。例えば人種の違い(差別)、言語の違い、文化の違い、そして何と言ってもビザの有無、これらのハンディキャップを常に携えたまま日々を過ごさないといけません。「嫌ならば日本に帰ればいい」とは真にその通りで、実際ほとんど多くの外国人は滞在許可の問題で自国に帰ることを余儀なくされます。それらを乗り越えようともがいてきた、そしてその結果として実際にファッションを文化として持つ土地で生き残っているということは、海外の地でも必要とされる何かしらの”個性”を持っており、尚且つそれが効果的に発揮されているからこそだ、と言えるのではないでしょうか。そういった意味でその人々が持つ経験(技術も含めた)を適切に評価するということは大事なことなのではないかと思うのです。”評価をする”とはつまりそういった人々の経験そして熱意を日本で活かすことを真剣に考えていくべきではないのかということです。この点は今回の私の講演の中でも特に訴えたい、しかも表面的な意味を捉えるだけで終わってほしくない重要な趣旨です。よってこれについてはしっかりと後述しようと思います。
また、上記で”人種の違い(差別)”と書きましたが、海外に住んでいれば誰でも一度ならずとも嫌な思いをすることがありますが、多くの人が経験するように逆に「日本人」ということがプラスに働くことがあるのも事実です。その点についても考えていきます。
第3章 は 『日本人の海外で評価される一般的な特性』です
<参照用既出リンク>
はじめに
第1章 ファッションのグローバル化
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