講演「なぜ日本人技術者が海外ファッション業界で評価されるのか」概要 1 | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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講演「なぜ日本人技術者が海外ファッション業界で評価されるのか」概要1


1 ファッションのグローバル化

今日「グローバル化」という言葉が頻繁に使われるようになりましたが、その意味を考えれば、日本のファッションが苦戦を強いられるのは自然の流れと言えるでしょう。「グローバル化」という言葉は世間的にはどこか肯定的な意味合いで使われていることが多いように見受けられますが、その実は弱肉強食を意味します。世界中で同一ルールの下での戦いを強いられ、製造業においてはとりわけ現在は倫理的な問題点を指摘されるようになってきましたが、賃金・資源価格の地域格差を利用することで驚異的な低価格商品を生み出し、賃金の高い日本の企業にとっては従来のやり方を一から考え直さなければならない程の大きな変化を世の中にもたらして久しくなります。日本の電化製品や自動車、そして食の世界などでは苦戦を強いられている部分もあるとはいえ、まだまだ世界の国が認める強い産業を持っていますが、こと今のファッションに関しては一般的に見ればその域に達しているとは言えません。よく言われるようにグローバルな中で生き残るには、低価格競争に勝ち抜くか、はたまた価格に見合う適切なブランディングによる高価格帯戦略で勝負するかのいずれかに寄らなければ厳しいのですが、日本の製品は色々な要因が相まってどちらにも振れずにいるものが多いのが現状です。洋服で言えば超低価格帯は北欧・欧州発信のファストファッションに一線を画され、高級ラグジュアリー部門は欧米の高級・デザイナーズブランドに水をあけられている、そんな状況と言えるでしょう。

この現実は今回与えられた講演の主題でもある「なぜ日本人技術者が海外ファッション業界で評価されるのか」という言葉をいただいたことにも表れているように思います。この題を一見して肯定的な印象を受けるか、それとも否定的な印象を受けるか。かく言う私も今回のスピーチを考え始めるにあたって第一印象では肯定的に受け取った地点からスタートしました。つまり、これからファッションを目指す学生の方、若い技術者に「日本人はヨーロッパでも認められる技術を持っているんだ」と夢を与えられる様なスピーチをすべきなのかと。しかしその後に色々思考を巡らせると、果たして本当にこれを肯定的に捉えるだけで良いのだろうか、むしろ否定的に捉えなければならない点も多くあるのではないかと思うようになりました。アマノジャクになるのは後ろに置いておくとして、まずは日本人が海外のファッション業界でも活躍している、その理由について全くの個人的な経験に基づくものではありますが、考えていこうと思います。尚、ファッションと言っても様々な種類のファッションがありますが、私が今回考えるファッションとは私自身が経験のある個性を前面に出したデザイナーズブランドやラグジュアリーブランドが提供しているファッションの視点で書いていますので、そういった分野に従事する人々の現状やこれからの課題点などに絞って述べていることを前提として考えていただけると幸いです。


第2章 は 『世界で活躍している日本人』です


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はじめに



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