フランスはパリに移住してもう4ヶ月が経とうとしています。相変わらずフランス語は何を言ってているのかが理解できず苦戦した毎日を過ごしています。さて、そんなフランスですが、移住する以前からある噂を何度か聞いていました。それは、「フランス人はイタリア人より働かない」ということなのです。僕自身は特殊だったとは言え日本で働いた経験もあるので、日本に比べればイタリアの労働環境はかなり緩いものだと思いますし、朝会社に来てもコーヒー飲んで昨日何を食べたかの話を30分くらいして時間を消費するし、そのくせ終わりの時間が来たら結構すぐに帰るものだなあと思っていました。お世辞にも勤勉だとは言えないと思います(勤勉な人もたくさんいますけど)。ただ、そんな状況でもちゃんとコレクションは毎シーズンこなしてるし、結局要領がいいのか諦めが早いのか、我々も学ぶところはあるのかも知れません。
問題はフランス人の方がもっと怠け者なのかという点です。全くの個人的な印象ではありますが、フランスの方が都会だからより勤勉で時間にも厳しくてしっかりしていると思っていましたし、今4ヶ月働いた時点ではフランス人の方が特に勤勉だとも怠けているともまだ言い難いような状況です。ただ、縫製とパターンの部屋は定時を30分も過ぎた頃に行けばチーフとそのアシスタント以外はみんな帰っている状況を何度も経験しているのでまあイタリアもフランスも変わらないなと思ったのは憶えています。
ただ、最近フランス人でない同僚と話した時に面白いことを聞いたのです。彼はイタリアのフィレンツェで働いていた経験もあってイタリア語も話すのですが、そんな彼が僕もイタリアにいたということを知った上で、「イタリア人の方がよく働くでしょう?」って言ってきたのにびっくりしました。彼に言わせると、「イタリア人の方が定時になってもなかなか帰らない人が多い」らしいのです。それはなぜかと尋ねると、イタリアの方が会社が家族という認識が強いからだというのです。つまり、彼に言わせると会社は家族と同じだということよりも、むしろ会社が家族経営が多い為、オーナーの家族が各部署に散らばっていたり、その知り合い、友人、子供、、、、などが社内に多い為、なかなか帰りにくい(?)状況があるからだそうで、フランスはその点家族経営が少ない為、社員の気持ちもドライで定時が来たらすぐ帰るのが普通なのだということでした。彼が働いていた会社ではデザイナーが経営者の子供で、定時が過ぎてもデザイナーが残っていて色々な所を見て回っていたそうで、なかなか帰りにくい雰囲気もあったそうです。確かにそう言われてみればそんな気もしなくもないです。ただ、イタリアはその分仕事もナアナアで済まされているのかも知れないなというのはありますけどね。
その後、ふと残業大国である日本のことを考えてしまいました。日本は家族経営でなくても定時きっちりに帰るってのはなかなかありえないですよね。意味のない付き合い残業などがあったりとよろしくない部分も多いですが、会社が家族って思える状況なのは決して悪くはないと思うのです。社員が会社の為にがんばってやろうと思わせるようになれば会社も社員も損はしません。それに日本人は”人生=仕事”的な認識も少なからずあるしなと思います。これも僕は決して悪くない考えだと思っています。これについては次回、”スピーチ「なぜ日本人技術者が海外ファッション業界で評価されるのか」”でも書こうと思います。海外では国をまたいで情報交換ができ、そこからその国の現状や日本の良し悪しも客観的に見ることができたりします。この点は本当にありがたいことだと思います。そんなことを感じた最近のエピソードでした。
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