前回にアウトレットはその特徴から定価で販売しているお店よりも試着がしやすいため、例え買わなかったとしても新しい物に挑戦して楽しむ事ができる点が良い所だと書きました。
＜参照：試着天国のアウトレット （前編）＞
アウトレットは高級感を保つというよりも、結局は在庫処分のためのお店な訳ですから売れないといけませんし、売るためには試着をしてもらわないといけません。そのために試着を誘導する様なしかけや雰囲気作りがもっとあればより良いことだと思います。
アウトレットでなくても、一般のお店としても試着がしにくい様な雰囲気を作ってしまう事は間違いなくマイナスですし、かといって試着をしやすい環境を作る事自体がブランドの高級感を下げる事には必ずしもならないですし、何らかの形でこういった雰囲気作りに努力する事も大事なのではないでしょうか。試着をしやすく、かつ試着をしても断りやすい環境も、です。例えば、あなたがあるお店に入って最初は買うつもりがなくても、ある商品を試着して気になってしまって、でも高くて予算に合わない場合、何を考えるでしょうか。普通は売れ残るかどうかのリスクを負ってセールまで待とうと思うでしょう？ということは例え定価では買わなくてもセールにはそのお客さんは再び来店してくれる可能性が高いということです。そしてそのセールの時に目的の物が残っていれば購入してもらえるでしょうし、残っていなかったとしても他の物を代わりに買ってもらえる可能性も大いにありますし、例え何も買ってもらえなかったとしても少なくともそのお客さんの脳にはそのブランドで気になった服を見つけたという記憶が残るはずです。この人が他の誰かにそのことを話すかもしれませんし、今の時代ひょっとしたらブログやSNSで書くかもしれません。一度の試着がひょっとしたら大きな宣伝広告になり得るかもしれない。目の前の数字だけでない広い視野で販売方法、販売戦略を考えることは大事だと思います。
以上は友人夫婦の奥さんがアウトレットでの買い物を楽しんでいたことから考えたことを書いてきました。ただ、問題は旦那の方なのです。友人夫婦と僕とで買い物に出かけた訳ですが、旦那はもう頭っから奥さんに付き合うだけ、という考えでいるので、試着をして楽しもうという気もあまりないですし、試着する事すらも面倒くさいと思っているんです。ただ、せっかく店にいるのだし何もせずにいるのは時間の無駄だから、僕が何か勧めたらまあ、挑戦してみるか、、、、と時々渋々試着してくれる事があるのですが、僕も自分が普段着ない服のサイズ感が分からず、しかも無難なモノを勧めてもファッションが楽しい！ということにはなかなかならないので、自分の中で彼が納得するかしないかぎりぎりの所で選んで勧めていましたが、これがなかなかうまくいかないので、そうなると彼も余計に試着をしようという気が失せますよね。勧めた服が全部ぴったり合えばいいんですが、なかなかそうも世の中は行かないもので、しかもブランド物の値段はたとえアウトレット価格であってもそういったものに慣れていない人からすればやはり高いので、よほど気に入ってもらえない限りは購入には至りません。普通な物を勧めても「これユニクロでもっと安く売ってるよ」って言われるんです。
そうこうしていたときのことです。彼は仕事ではスーツを着ているらしく、今の様な時期（冬の前後）にスーツの上に軽く羽織れる様なものを探していたみたいで、店のラックに厚手の繊細な黒いナイロンで出来た膝より少し上の丈の上品なコートを見ると、「あ、それいい！こういうのを探していた！」と突然言って、僕が勧めなくとも試着をし、結局それを購入する事になったんです。奥さんとも、「いいねえこれ、こういうの欲しかった！」と何度も話していて、満足げでした。実際そのコートはナイロンとはいえ程よい厚みで、しかも目が細かく繊細な生地で、全体的には高級感の漂うキレイな黒のコートで彼にもとても似合っていました。ただ、お洒落を楽しむという点でいえば僕的には少し物足りない感じはしたのも事実です。でも、僕が勧めた多くの服を試着したときの何倍も幸せそうにそのコートの事を喜んでいたのです。
次回で完結です。
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