2015年春夏東京コレクションより考察 1:ファッションショーの存在意義 | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
https://arlnata.com/index.html

 今2015年春夏シーズンの東京コレクション 「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク トウキョウ(=MBFWT)10月13~18日」の終盤(今日が最終日)です。

<参照 WWD japan : http://www.wwdjapan.com/collection/

 もうほぼ終盤なので書くのが遅いですが、無料で入場できるブランドも多いみたいですし、ブランドに招待状(インビテーションカード)を要求すれば送ってくれるところも多いみたいですし、今までxxコレクションと言ってもよくわからないなと縁が無かった人も(次回は是非)身近なファッションイベントである東京コレクションを見に行ってみてはどうでしょうか?普段とは違う世界を楽しめると思います。そして、こんなきっかけがある時位しかなかなか思い切ってお洒落する事もないでしょうし、特別なイベント用の服を選びにショッピングに出かけるのも楽しいでしょうし、もしくはいつ着ようかと思っているうちにタンスの肥やしになっていた服を外に引っ張り出して外出し(あえて着物という手もありますし!)、そんな服装で山手線や東京メトロを乗るのに抵抗があるのなら、いつもとは違う非日常を味わうためにタクシーで中心まで移動したり、さらに余裕があればハイヤーを雇って過ごすのも人生の楽しみを一つ増やすことになるかもしれません。洋服を楽しむには自分で理由(きっかけ)をつくらないといけませんしね。とまあ、そういった日本の一大ファッションイベントの東京コレクションですが、色々静止画のみですが見ているとヨーロッパなどと比較して気付く事があったので、書いてみようと思います。


 まずコレクション全体がリアルクローズ(実際に着る事を前提にしたデザイン)が多すぎるなと思う所です。売るために洋服作っているのだからリアルクローズで当たり前だろうと思う人もいるかもしれませんし、日本のファッションはリアルクローズなのが強みだと言われれば何も言えませんが、ファッションショーの後に展示会(受注会)に行けば(一般の人は入れませんが)、ショーに出ていなかった作品もたくさん用意されて選択の幅が多く、実売用のリアルクローズが用意されている事が大半です。色違いや素材違いなどです。ファッションショーは上下のコーディネートも考えなければいけないし、なんと言っても時間の制限もあるし、全部を見せる事は不可能です。だから、一番押したい作品を選んでショーで見せるという事がほとんどですが、それにしてもファッションショーをわざわざする意味があるのかなと思わざるをえないショーが多いなと感じます。その点で言えばヨーロッパもそういうブランドはたくさんありますが、さっきもいったように服がリアルクローズ過ぎるので、さらにつまらない。動画で見たり実際触れたりすれば色々工夫をされているのでしょうが、一般的なファッションショーは限られた時間、距離感から考えるとそういった細部や触感を伝える手段としては適当ではありません。服を含めた演出による雰囲気、空気、そういったもので幻覚に惑わすためのものではないでしょうか。そもそもファッションショーは“広告”の意味合いが間違いなく強いモノです。今やインターネットで即日最低写真は掲載されるので、どこぞやのファーストファッション店でも見つけられそうな服をわざわざショーで提案するより、むしろ自分たちのコンセプトや姿勢を100%いや200%ぶちこんだショーで宣伝する方が、みんなの視線・関心を集められるのではないでしょうか。ヘンな物を作れとか、奇抜な物を作れと言っているのではなく、「売らないといけないとか実際街で着れるかどうか」ということをわざわざ考えてショーを構成しなくていいのではと言っているのです。自分たちのやりたいことを思い切ってショーで宣伝し、実際の展示会場でリアルクローズを売ればいいのではないでしょうか。そうすれば、ショーでのブランドイメージが付加価値となって、例えシンプルな真っ白のTシャツでもそのブランドのタグが付いているだけで10000円でも買ってくれる人が出てくるのです。そういった、ファッションショーの在り方を考えるべきブランドが多いなと思います(何度も言いますが、ヨーロッパでもそうですが)。そして、自分たちの作りたい服はリアルクローズなんだ!というようなブランドは何も大金をかけてまでファッションショーをしなくても、そのお金で細部まで見てもらう機会を設けたり、他の手段でアピールする方が得策ではないかと思うのです。


 今はどうかわかりませんが、以前、、、といっても僕が大学生くらいの頃ですが、洋服のお店に入って色々見ていると店員さんが寄って来て色々説明してくれた後に、「このブランドはxxコレクションに出ているんですよ」などと言っていた時もありました。つまり、この発言の裏にはファッションショーをしているブランドは“スゴいんだ”というバックリとしたイメージが前提で、何がどうすごいというよりか、ファッションショーをしているという事自体にステイタスがあったのは否めません。あの時は僕も「へえそうなんですね!すごいですねー!」と答えていた様に思います。このブランドにはお金があるよという意味なのか、それだけ知名度が高いよという意味なのか、今となってもなんですごいのかは正確には理解できませんが、今もそういうよくわからないステイタス・空気に踊らされて、ブランドをもったからにはファッションショーをしなければ!と考えているかのようなブランドが多い様に見受けられます。ファッションショーは宣伝広告の場でもあり、そして今までの制作過程のフィナーレでもあるので、ある種のお祭り事、お祝い事的な要素が含まれていることはあるでしょう。ですので、最後は盛大にみんなを招いて祝いたい!その気持ちはわかります。よほどお金に困っていない会社であればそれはそれで色々な雇用を生むし、お金も流れ、日本の停滞している経済を多少なりとも活性化することに一役買っているので全くもって結構なことですが、そうでなければ同じお金を有意義に使う方法を探し出すなど、ファッションショーの在り方を見直すべき点は大いにあるのではないでしょうか。ブログの冒頭にお洒落をしてファッションショーに出かけようと勧めた手前、ここに来てファッションショーを否定的に見る様なことを書くのも変ですが、“ファッションショー”という形式にこだわらずとも面白い表現方法の可能性は大いにあるでしょうし、それらをわざわざ見に行くに値する非日常を感じさせてくれる様なファッションイベントで溢れる東京コレクションになるよう、そしてファッションショーだけでない面白い見せ方を提供してくれるという事が東京コレクションの売りになるようなイベントになるよう僕も期待したいです。


 あと、さらに気付いた事はモデルさんの使い方です。ブランドによって日本人(アジア人?)モデルがほとんどのところ、何人かが日本人で他はヨーロッパ人、そしてほとんどヨーロッパ人モデルとばらつきがありました。東京コレクションは当然の事ながら日本のコレクションですから日本のブランドがほとんどです(パリコレの様にまだまだ多国籍ではありません)。ですので日本の市場をターゲットにしていないブランドはまず無いでしょう。にもかかわらずヨーロッパ人モデルだけを使う事はどういった意図なのでしょうか。次回に続けます




本日の記事に興味を持っていただいた方、是非下をクリックしていただき、多くの人と共有できるようご協力お願い致します!!

人気ブログランキングへ