ファッションの本場、欧米のファッションスナップを見てみよう ( SS 2015):後編 | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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 前回に、最近のファッションスナップの影響で、写真に撮ってもらうために目立つためのファッションがもてはやされているということと同時に、洋服を制作する側としては思い切ったデザインや創造性を発揮できる良い機会を与えられるようになった、と書きました。もうすこし突っ込んで考えて行きます。


<参照記事:ファッションの本場、欧米のファッションスナップを見てみよう ( SS 2015):前編


 日本という場所で考えると、そもそも日本人は自分を目立たせることがあまり得意ではないですし、自分だけが目立つとかといった考えは日本人的な姿勢には合わず、むしろあんまりすべきことではないと思われているのではないでしょうか 。だから、どんな場所に行くときでも周りの人はどういう格好なんだろうか、どういう格好をして行くべきだろうかと周りとの調和を気にしがちです(悪い事だとは思いませんし、これは日本人の良い所だと思います)。しかし、洋服を本当の意味で楽しみたい、お洒落になりたい、思われたい、自分の街をお洒落な街にしたい、、、と考えるならば周りと同じ事をやっていても残念ながらダメなのです。なぜなら人はみんな顔や体型、肌の色、紙の色、、、、が違う、つまり個性があるからなのです。人が違う以上同じ物を着ても同じ様にお洒落にはなるとは限らないのです。よって、自分に合ったものを知る必要があるし、それを知るためにはお金と時間をかけて楽しみながら勉強するしかないと以前から書いて来ました。ということは世の中のファッションスナップの目的が、「世の中のお洒落な人を見て色々勉強しましょうね」という目的であるならば、本当の意味で“お洒落な人”を厳選しなければならないだろうし、でも本当の所“お洒落な人”が必ず見映えがいいとは限らないので(世の中の人はみんなモデルさんではないという意味)、結局ちょっと容姿の整った人の写真を載せた方がやっぱり憧れの気持ちが手伝って注目されるし、理由はどうであれ目立っている格好の人を載せたりしてしまうことになってしまっているように思います。


 僕は個人的にはファッションスナップを掲載する側もTPO(time時間・place場所・occasion状況・場合)を明記する必要があると思います。やはりどういった場所で撮られたのかによって見る側の意識も変わって来ます。日本の雑誌でよくあるような、道ばたでふと見つけたお洒落さんなのか、何かしらのイベント会場の前なのか、それがファッションイベントなのか電子機器のイベントなのか、和菓子のイベントなのか、ディナーショーなのか、等によってもその場にあった服装とは変わって来ます。上で話した様に、住宅街のど真ん中では奇怪な服装でも、何かしらの特別なイベント会場であるなら至って普通という事もおおいにありますし、少なくともファッションに興味があるから見ているのであろう読者に対して“お洒落とはどういうものか”を提案する意思がメディア側にあるのであれば、TPOを記す事は必要不可欠ではないでしょうか。そうすればそこから読者が自分なりに判断し、まずは視覚的に勉強して自分に当てはめてトライするきっかけにもなると思います。


 そういう意味で言えばこのstyle.comのスナップショット集は基本的にはファッションショー会場に来ている人々の写真という前提があるので、そう考えてみんなが楽しめる様になっていますが、ちょこちょこと恐らくファッションショーとは関係なさそうな人も載っていたり、恐らくたまたま街中で見つけた人の写真も一緒になっているので、そういう事情がわからない人からするとギャップが大きすぎると映るかもしれませんね。


 ちなみに、今の所(259枚ですが)僕が個人的に“お洒落だな”つまり、その人にしっくり合っていて尚かつファッションショーを見に来るという“場やショーの主催者に対しての思い図り”が感じられる服装、が次の写真です。

http://www.style.com/slideshows/slideshows/street/tommy-ton/2014/09052014-tommy-ton--nyfw/251

写真がうつむいているので残念ですが、ボーイッシュな髪型にちょっとガーリなーシルエット、ちょっと日焼けした肌に真っ白な服、といったコントラストが印象的です。特別なご招待に対するファッションとしては程よいインパクトですし(特に上着のシャツドレスが穴の空いた加工で十分デザイン製がある)、かといってやりすぎない個人的には素晴らしいコーディネイトだと思います(靴くらいは他の色で遊んでもよかったのかもしれませんが、、、どうでしょう?)。



次の写真は、正直ファッションショーに向かっている人かどうか怪しいですが、でもちょっとお洒落をして出かけている人と考えたなら“お洒落だな”と思った写真です。

http://www.style.com/slideshows/slideshows/street/tommy-ton/2014/09052014-tommy-ton--nyfw/102

 全身を真っ黒にするのは簡単な事ですが、黒は黒でも素材の違いや黒の中での微妙な色の違いを遊ぶのもの面白いテクニックですし、真っ黒の中に程よく鮮やかな色を挿すと効果的です。ちょっとしたアクセサリーなどでもそういったことができますが、この人はデザイン自体がそういったトップ(上物)とパンツもナイロンかなにかのスポーティな黒に黄色の挿し色で、全体として単調でない。しかも靴も黒でない所が、全身を真っ黒にしてつまらなくならないようにという意思が感じられます。ファッションショーに出かけるという服装だったならば少し物足りなさはありますが、普段着、ちょっとしたお出かけファッションとしては好印象です。


 で、下の写真は正直、目立っていてキマっているならまだしも、サイズ感も変だし本人とも全くあっていない奇抜なだけだなと感じた個人的に好きじゃない写真です。

http://www.style.com/slideshows/slideshows/street/tommy-ton/2014/09052014-tommy-ton--nyfw/85

みなさんはどれがお気に入りでどれがお気に召さなかったでしょうか。


次回にファッションスナップが洋服を作る側にももたらしている別の問題点について書こうと思います。



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