ワインとファッションの相違点  4: (老舗のファッションブランドは歴史で物語る) | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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 前回までにワインにしろ人にしろ、“出身×歴史”が見える事、見せられる事が“個性”を表すのに非常に重要だと書きました。


<参照記事:ワインとファッションの相違点  1: (ワインにとっての”土地”という個性

<参照記事:ワインとファッションの相違点  2: (人にとっての”出身地(国)”という個性

<参照記事:ワインとファッションの相違点  3: (出身×歴史というルーツを認識すること


 ではこれをファッションの中ではどう考えればいいのかを見てみましょう。まずブランドとしてのルーツ(出身×歴史)について考えた場合、注目すべきはいわゆる老舗の(高級)ブランドです。老舗の(高級)ブランド(特にヨーロッパ)は日本人にもまだまだ人気があると思いますが、彼らのサイトを見ていただければわかる通り必ず“ブランドの歴史や変遷”に関するページが用意されています。その中でも CHANEL(シャネル) は特にユニークなアニメーションを使って非常に簡潔にお洒落にそして見やすく説明されています。何せ20世紀の初期からの歴史を持つブランドです。そしてその中でもアトリエのある場所、Rue Cambon(カンボン通り)というのは何度も登場します。まさにその場所で今日に至るまでシャネルというブランドの歴史が築き上げられて来たのだということを知らしめています。ある程度ワインの知識がある人が有名なワインのラベルを見ただけでその土地の風景を思い浮かべ、ぶどうが摘み取られる様子を、樽に詰められて熟成される様を想像できるであろう様に、ある程度ファッションの知識がある人にはシャネルのロゴを見ただけで、パリのあの通りにあるアトリエやココシャネルが奮闘して来た歴史に思いを馳せるのかもしれません。つまり両者に共通して言える事はブランドの背景に“物語”があるということなのです。そしてその“物語”を構成する要素として“歴史”があるということは非常に大きな武器になるということは間違いないようです(出身×歴史=物語・個性)。


 下にシャネルの歴史を綴ったページへのリンクを紹介しておきます。別に僕はシャネルに特別な思い入れがあるとかではありませんが、色々な高級メゾンのサイトを見比べてみて、ブランドの歴史というものを分かりやすく、そして顧客に見やすく伝えようと言う姿勢が個人的に一番見えたのがシャネルなので、興味のある方は是非ご覧になって下さい。いくつかのタイトルで分割されていますが、全てを見た後に少しでもシャネルってすごいんだなあ、ちょっと店に行って商品見てみようかなあと思ったならば、それは歴史という力がどれほど信頼を与えるのに影響力があるかということを身をもって体験したという事ですし、そこから、もしあなたが制作者サイドの人間ならば、制作者としてどういった姿勢が必要なのか見えてくるはずだと思います。


<参照:シャネルの歴史:http://inside.chanel.com/ja/paris-by-chanel>


 となると、長い歴史のあるブランドは当然の事ながら物語を語りやすく、それだけ付加価値が付けやすいということになるわけで、歴史の無い新しいブランドは“ブランドの歴史”という点で物語る事はほぼできません(どれだけ素晴らしい場所にアトリエを設けたとしても、ブランド自体に歴史が無くては物語る事は出来ません)。では何を持って物語るべきなのでしょうか。次回で完結します。



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