パリコレはもう古いのか (後編:創造性と個性に富んだファッションはそれでも必要とされているはず) | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

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約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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 前回に、ホリエモンこと堀江貴文さんが、今や古いパリコレに変わって新しい形態のファッションビジネスの時代が来る、という記事に対して、パリコレと彼の考えている新しいファッション形態の客層が違うので、比較する事は出来ないのではないか、結局はどういった客をターゲットにするのかという事によってファッションビジネスの形態は適宜変えて行くべきではないか、ということを書きました。


<参照:パリコレは古い? ホリエモンが新時代のアパレルビジネスを語る

<参照:パリコレはもう古いのか (前編:堀江さん(ホリエモン)の言う新しいファッションの形



 良い服(ここで言うのはデザイナー・ブランドの個性を強調するために作成過程に時間をかけて、またその個性が評価されている服とします)をつくっているブランドでも売り上げはまあまあ、もしくは厳しいというようなところもたくさんあります。もちろんその原因は様々あるのでしょうが、一般的に言って良い服が必ず売れる服とは限りません。かといって売れている服が良い服とも限りません。自分のスタイルというものを表現するために、売れる売れないは別として一見意味の無い様に思われるかもしれないいわゆるショーピースというものも必要になったりするのです。よく考えれば、自分たちが若い時になぜ服作りを目指したのか、デザインしたいと思ったのかを考えれば、自分のスタイルを世間で試したい、勝負したい、そしてその結果として多くの人に認められ、たくさん売れるということを夢見てこの道に進んだ人が多いのではと思うのです、言い換えればクリエイティブな仕事というのは(少なくともファッションは)“自分のエゴをどこまで貫き通せるか”という駆け引きが面白い所なのではないかと思うのです。が、堀江さんの提案している様な新しい形態は結局“いかにして売って儲けるか”ということだけに焦点を向けて、結局の所お客さんの需要に対してデザインを迎合させる、ビジネスの手段としてのファッションとしての存在以上にはなれないということなのです。これはビジネスとして考えれば至極正しい方法なのでしょうが、クリエイティブなファッションを目指すならば僕は肯定しかねざるを得ません。


 この問題からは言いたい事はたくさん出てくるので、また今後に回そうと思いますが、 結局は目的をしっかり持つということが大事なのかなと思う訳です。つまり、出来るだけたくさんの人に売るということが目的なのか、贅沢品を作りたいのか、安くてトレンディということを目指すのか、、、。そこが中途半端なブランドは続かないでしょう。なぜなら、今の世の中はファストファッションなどによって、ある程度色んな立場の王者がもう出尽くして来ているからです。となると、どの分野での王者をどのように目指すかということが重要になってくるのです。堀江さんが言った様な方法はビジネスとしてはうまくいくかもしれませんし、近い将来そういった形態が世の主流になるのかもしれません。世の中で有名になりたいという女の子(男の子)はたくさんいるだろうし、そういう子達を引っ張って、人気があるうちに稼がせて人気に陰りがでてきたら新しい次の子を採用すればいいのです。


 こういったやり方は一つの方法でしょうが、クリエイティブなファッションという側面はほとんどありません。僕は少なくとも自分の進んで行くファッションはクリエイティブで個性的でありたい。なぜなら、洋服を作りたいと思ったきっかけは、僕自身もそうである様にほとんどの人は過去に何らかの形でクリエイティブで個性的な服に感化されてきたからだと思うのです。インターネット、SNSなどのツールによってこういったことを声高に叫ぶ事がもうパリコレと同じで“古い”と言われる時代なのかもしれませんが、自分はクリエイティブで個性的な服が好きな一人ですし、クリエイティブで個性的な服を消費する一人でもありますし、僕の周りには少なくともクリエイティブで個性的な服を作ろうと努力している人が存在します。だから、最近日陰に追いやられている感のあるこういったファッションの良さを少しでも多くの人に理解してもらえるように何とかしなければいけないなと日々考えています。



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