パリコレはもう古いのか (前編:堀江さん(ホリエモン)の言う新しいファッションの形) | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

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約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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 夏休み明けに、色々興味深い記事がありましたので、そのなかでもホリエモンこと堀江貴文さんが話されていたパリコレは古いという意見について考えてみました。


パリコレは古い? ホリエモンが新時代のアパレルビジネスを語る
http://www.fashionsnap.com/news/2014-08-19/horiemon-paris-talk/



 パリコレは新作を発表してから量産に入り店頭に並ぶまで一般的には半年かかります。そうすると、半年経った後には鮮度が落ちているのではないかということです。(パリコレ等で出展するより)WEAR(コーディネートを素人が自分で写真に撮って発表するというアプリケーション)で発表した方が売れるのではないか?ということを堀江さんが話していました。僕もこの”WEAR"というアプリについては、初めて少しだけチェックしただけなので完全には理解はしきっていませんが、このアプリケーションの中には自分のスタイリングの提案に対して60万、70万人のフォロワーがついている人もいるらしく、そういった人をブランドのデザイナーもしくはディレクターにして新しい作品を着ることでプロモーションすれば、(簡単のためある人のフォロワーが100万人だとすると)フォロワーの100人に一人がその服を買ったとしても1万枚近い売り上げになり、それが一枚1万円だとしてすでに1億の売り上げになる。これが新しいファッションの形だということでした。


 まずこの考え方についてポジティブな面を考えてみました。

<ポジティブ面>

・今のファストファッションの生産スピード(一般なら半年かけて生産する所を最短2週間から1ヶ月で生産するシステム)を利用してであれば、パリコレベースのサイクルより新作から店頭販売までの鮮度という意味ではだいぶ新鮮になる。

・ブランド側も今までファッションショーや展示会等に多大なお金をかけていた分が、ある一人の素人に着てもらうだけでそれがある程度売れる保証になるのだから、他の事に余ったお金を費やす事ができる。

・センスのある素人がファッションデザイナーもしくはディレクターとして世に出てきて一攫千金出来るようなデザイナーを目指す若者にとっては(一見)夢のある業界になる。



<ネガティブ面>

・結局は影響力のある素人にブランド側が仕事を持ちかける形になり、デザイナーになるためにはこのアプリの中で影響力を持つ事が、ファッションの歴史だ洋服の作り方だのを勉強する事よりも優先され、他人の洋服をアレンジすることがデザイナーの仕事だという空気が出来上がり、雰囲気だけで洋服をデザインすることを助長し、それでなくてもファッションの素人化が危惧されている中、ますますこれに拍車がかかる

・パリコレ等を本気で意識している様な人にはこう言った服はほとんど興味はわかないだろうし、こういった服を買う客層は逆にパリコレ等を意識する事はほとんどないだろう。結局はターゲットをどこにおくかの議論であって、堀江さんのようにパリコレが古いから、こういったインターネットやSNSなどを使ったビジネスがパリコレに取って変わるというのは少し比べる次元が違うと思われる。




 堀江さんも言っていた様に、素人のデザインとは既存の服の編集作業であって、新しい物をデザイン、クリエイトするわけではない。このようななんちゃってデザイナーしか需要が無いような国、そして消費者側も洋服の善し悪しを自分で判断することよりも有名な人が着ている服(やブランド)を盲目的に崇拝し、“自分自身のファッションを知る”という事なく他者に従ってしまうような国のファッションが果たして成熟・洗練されていると言えるのでしょうか。次回に続けます。



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