公に掲載された文章の与える影響力 | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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服飾専門学生の「よく買うブランド」ランキングに見る危機


 昨日に上記の今ファッションスナップというサイトで話題になっている(少し前ですが)記事の書き方に対する批判を書いた所、友人からも意見をいただきました。率直な意見をいただける事は本当にありがたいことですし、そこからまた新たに考え直す事もできました。


 問題の記事ですが、おそらく普通の人、もしくは日本ファッションの将来に対して特に不安がない人には別に何ら問題が無いのでは?と思うかと思います。実際彼の書いている事はその通りで、若い人材を育てて行くためには、企業のエライサン(影響力、行動力のある人)が先陣を切って行動に起こす事が一番近道だし、そんな方々に動いてもらうように働きかける必要があるでしょう。このように一見問題が無いように見えますが、今のファッションの現状に危機感を覚え、なんとかしなければと思っている側の人間からすると、最後の文章が無責任にどうしても見えてしまうのです。ファッションに生きる人間であれば、自分の働く世界のレベルが下がって何も思わないのは変じゃないでしょうか?何か思っているのであれば、そこに生きる一人として自分の出来る範囲で一歩でも改善する努力をするか、何かしら提案をすべきでないでしょうか?


 ブログでも雑誌でもネットでも、そこで毎日記事を書いて編集をして、、と過ごしていると自分達の仕事が当たり前になってきますが、メディアの影響力はおそらくほとんどの人が思っているよりも大きいものです。なぜなら、その業界で働いていない人からすれば、その業界の情報を得る事はこれらのツールを除いては非常に難しい。だからこそ、プロが書いてプロが厳選している情報はきっと正しいということが前提で、雑誌やネットやブログなどのメディアに価値が出てくるのです。そして、書いている本人達が思っている以上にそれらを読んだり見た人はそこの情報を信じ込んでしまうものです。だから、不特定多数の人々に見られることが前提の”ほぼ公の場所”に責任感のない文章を書く事は僕は許せないと言っているのです。


 メディアに携わる人々の役割(プロフェッショナルな仕事)は僕は次のように考えます。


1、一般人が知る事の出来ない情報を仕入れて、有意義な情報を公に知らせる。
2、それらの情報から、一般の人らが考えることがないようなことを自分の職業的見地から問題提起することで、一般の人々には隠れて見えない事を表に引っ張り出す。
3、提起した問題を、自分なりの見地から解決策を見つけ出し、提案をする。
4、その提案の実行をする。


 僕は上記のように、1から4に進めば進む程プロとしての仕事を全うしていると考えます(僕は、です)。

 まず、これは普通に仕事さえしていればたいていの人はその業界の情報が受動的に入ってくる物ですし、触れる機会が当然多くなる訳で、程度の差はもちろん個人差が大きくありますが、業界にいればほぼ誰でも出来る事だと言えます。

 そして、ここからは少しプロレベルが上がりますが、自分の働く分野で働いているからこそ知り得る問題があるわけです(1のように流れてくる情報を受け身的に仕入れるのではありません、自分の実体験として自発的な行動によって体感する知識のことです)。自分だから気付く、自分だから考えられると思う問題点、これを提起する事は、ある程度周りの状況に敏感な上にそれを意識できる感度がなければ出来る事ではありません

 、ここからが多くのメディアの人もしない、出来ていない、興味が無いと言っていい所です。問題意識をもってそれを表にまで持って来たのだから、その解決方法を考えましょうよ!ってことです。以前の僕の記事ではないですが、言うだけ言って、その先は知らない、では、居酒屋で愚痴を言うだけ言って帰って寝て次の日には昨日のことはケロッと忘れて仕事を始めるのと何ら変わりがないでしょう。居酒屋だったらいいですが、ここは公の場なのですから(参照記事:愚痴をこぼす)。

 、そして、ここからはその人のその業界に対する影響力ということも大きく関係する事なので、みんなここまでしなければならない、とは言えませんが、ここまで出来る人は自分の信念を強く持ち、そして信じ、失敗を恐れず行動に移せるとても勇気のある人だと思います。理想としては1~4まで一貫して出来る様な責任感と行動力のあるプロが増えてくれればと思います


 さて、こう考えると、上記のファッションスナップの記事で言えば、2までは出来ているのに、3に1~2歩入り込んだだけで終わってしまっている、しかも書き方が投げやりだったので、僕は怒っていると言ったのです。昨日も言いましたが、もちろん彼の記事はいつもこうではありませんし、独特の視点で興味深い記事もたくさんありますし、今までも何度か取り上げさせてもらいました。だからこそ、最後の書き方は僕は感心できないし、別の書き方あるでしょう?と思ったのです。


 今後は、自分も含め、プロの書く情報や見解を一般の人は本当の事、正しい事だとある程度前提に読んでいるという状況がある以上、メディアに掲載されたモノの世に与える影響というものを深く受け止め、責任ある言動を努めて行かなければならないのではないかなと考えさせられました。ファッションという物はとにかく感性で善し悪しの判断を決定することが多いため、曖昧な表現になりやすいのですが、だからといって曖昧でいいのだと思って書くのと、少しでも多くの人に理解してもらおうと思ってできる限り具体的に書こうと努力するのとでは意味が違いますよね(もちろん自分が理解していないから曖昧にしかならないという残念な場合もあるでしょうが)。つまりは、いつもの言葉ですが、自分はプロフェッショナルなのだという意識を個々が持って、自分の専門分野についての日々の勉強、探求、追求、更新を怠らず、だからこそ具体的に分かり易く説明する事が出来るようになる、ということが必要なのだという結論に結局なるわけだと思うのです。


ファッションのメディアは曖昧なわかりにくい責任感の無い表現よりも、より具体的なじぶんの言葉で書いてほしい!と思っていただいた方、是非下をクリックしていただき、多くの人と共有できるようご協力お願い致します!!

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