伝説を残した外国人 (前編) | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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 昨日、イタリア人の働き方、仕事に対する姿勢が日本人のそれに比べて否定的な人が多いという事を書きました。環境が違えば当然考えも違う訳で、日本人の僕がイタリアで日本式のやり方を突き通すのは困難だとも書きました(参照記事:イタリア人の働き方


 今日は僕のイタリアでの約6年半くらいの労働体験から、日本では少し考えられない様なことをした外国人の話をしたいと思います。僕はイタリアにいるとはいえ、イタリアはEU圏であることから特にファッション業界は他の外国人も多く働いています。むしろ僕の場合はイタリア人以外との仕事の経験の方が多いと言ってもいいくらいです。ですので、以下の体験は全てがイタリア人、ではありませんのでご了承ください(日本人でもありません)。悪口を言う事が目的ではなく、日本とのギャップを感じたことを伝えるのが目的です。


1 “数学が苦手”

 インターンで彼を採用した時の事です。彼は元々陽気で、非常に感じのいい性格でした。仕事に対しても熱心で、外国人には珍しく間違いなどをした時には「ごめんなさい」と素直に言える人でした。インターンにいきなり難しい仕事を任せる訳にはいかないので、そのときちょうどTシャツのパターン(型紙)のサイズ展開(グレーディング)を手作業でしていた時でしたので、パターンを大きくしたり小さくしたりの手伝いをお願いしました。Tシャツには襟(えり)がついていますが、キレイにつけるためには少し伸ばしながら付けなければなりません。そのため、襟周りの寸法よりこの時は7%小さくしてパターンを用意するということになっていましたので、彼に「じゃあ、パターンは直線でいいから、まず襟周りの長さを測って、そこから7%ひいた寸法で襟のパターンを作ってね。」とお願いしました。そしたら、彼は超気マズそうな顔をしながらこう言ったんです、「あ、、、、オレ数学苦手だから、、、」。 、、、あのぅ、7%の計算するって数学でしたっけ?僕にはただの四則演算だと思うのですが。彼は買い物でセールに行った時、どうやってどれだけ安くなっているか判断しているのでしょうか?20%オフならちょっと安くなってる、50パーセントならだいぶ安い、70%なら超安い、90%なら迷わず即買い、、、そんな感覚で買い物しているのでしょうか?


2 “帰る気マンマン”

 学生上がり直後のインターンで採用した非常に若い彼は、面接のときに僕ははっきりと説明しました。「基本的に定時に帰れるというわけではないし、忙しい時は遅くまで残るし、必要な時は週末も働く事になるけど大丈夫?」彼はこう言いました「もちろん、この業界のことは知っているし、それは問題ないよ」と。まあ、誰もが答えるだろう返事です。そして、採用が決まって、初日。彼もあまり自己主張しないおとなしく、几帳面で繊細な性格でした。そしてある仕事を任せて、定時近くになったとき、なにやら横の方でガサガサ、カチャカチャ音がするので、横目で何やっているのかそおっと見てみると、鉛筆や定規、消しゴムから洋裁道具など全てをキレーーーーーイに片付けて整理整頓し始めているではありませんか。で、キレーーーーーイに並べ終わった後、こう言いました。「シュンスケ、これ終わったよ。まだ何か他に手伝わないといけないことある?」、、、、、ってあんた、帰る気超マンマンですやーーーん!!!インターンって将来に正規の契約が出来るように、自分の仕事に対する熱意を表し、会社にとって必要な人間になるという意気込みを見せなければいけない時期ではなかったでしたっけ?インターンって自分で帰る時間決められるような身分でした?道具を誰も触れる事ができない位キレイに片付けておいて、まだやる仕事ある?って、あなた矛盾してません?


3 “おまえはオレの事を理解しようとしてくれない”

 彼は、以前に違う部門で働いていましたが、一度会社を離れ、その後やっぱりその会社が好きでどうしてもパターン(型紙)に触りたいからという事で、会社に戻って来た経歴があります。ということで、僕は以前辞めた時の理由を聞いていたし、そもそもパターンを学校で勉強しているわけではない初心者なので乗り気ではなかったのですが、会社側が経験者の方が良いという事でお試し期間という事で様子を見ようと言う事になりました。開始してからは、まあ熱心なのですが、勉強していないこともあって基礎知識が足りないし、自分の仕事を確認しないまま終わったと言って、後で僕が同じような間違いを見つけるということが多々あったので注意したり、そんなスタートでした。ある日開始から2ヶ月くらい経った時でしょうか、彼が僕にもし他にパタンナーを探している人がいたら紹介してほしいと突然頼んで来たのです。 たった二ヶ月でそんな気持ちが変わる様な覚悟だったのか?と疑問を持った僕は、そもそもあまり乗り気ではなかったし、こんな気持ちだったらいつどんな理由つけて出て行くかわからないし、僕もそんなヤツに仕事を教える意味はないなと思い、ちょうどパタンナーを探していた友人の連絡先を渡しました。その後、その友人とはうまくつながったようで、テストに行った事、週末に試しに働く事など詳細を僕に話してくるのです。この時点でおかしいですよね?初め、この会社が好きだしここならたくさんの事を学べるからって言って戻らせてもらった立場でですよ?で、ある日、試作品が会社に届いて、デザイナー、自分、縫製責任者で確認をしながら話していた所に、ひょこっとそいつが顔をだし、そのままテーブルについて、黙ってではありますが会話に参加し始めたのです。当然他の二人は、なんで彼がここにいるの?的な雰囲気だったのですが、それをコントロールするのも僕の仕事ですし、区切りが良い時に、他にやることあるから席に戻ってて!って言うと、超キレた顔をして帰って行きました。で、僕もミーティングの後席に戻って、空気が気まずかったので、言いたい事あるんだったら言えよ。といいました。そうすると「オレはシュンスケのためを思って、ミーティングに参加したんだ、一緒に見ておけば次に何をすべきかすぐに理解できるしスムーズに仕事ができるから見にいったんだ!だけどシュンスケはそれが面白くない!オレがシュンスケのため思って行動しているのに、オレの事をわかってくれようともしない!他にも言いたい事がある、オレはパターンを勉強した訳じゃないから、知識や技術がある訳じゃない、なのに何か間違いをしたら、もうこの世の終わりかのように怒る!パーフェクトな人間なんてこの世にいないし、シュンスケだって間違えるだろ?オレだって間違うことがあるのは仕方ないだろ!。その後超大げんかでした。確かに、その時期、もう育てるつもりもなかった自分は多少冷めた態度で接していたでしょう。ただし、僕を冷めさせたのは誰のせい?シュンスケのためにミーティングに参加?冗談はよしましょうよ、ただ単に自分が見たかったから見に来てただけでしょ(このセリフ、こちらだとよーーーーーく聞きます。自分のやりたいことを他人のせいにして正当化する常套手段です)?オレの事をわかってくれない?あんた、自分の立場知ってます?あんたこそが僕の事、会社の事そして自分の立場を理解しないといけない立場なんですよ?学校で勉強していないから間違っても仕方が無いだぁ?だったら金払って学校行けばぁ?確かに完璧な人間なんて一人もいないでしょう、だーけーどー完璧にしようと努める姿勢を持つ心構えが大事であって、間違っても仕方が無いなんて姿勢の人間と働きたくないんですけど(参照記事:新入社員の心構え


 とにかく、こちらの人間は良くも悪くも上下関係の認識が日本より希薄なため、まあ自己主張する事すること、、、これは本当に大変です。逆に言うと僕も生意気言えるため、最近は結構真似して自己主張してますけどね。。3番目の彼の気持ちはよくわかります。自分も参加してみんなの意見が聞きたい、何が起こっているのか知りたい!好奇心ってやつです。だけど、会社ってのは自分の役割があるわけです。みんながみんな自分のしたいことをやっていては、会社の秩序は成り立ちません。そしてその秩序を管理するのは上司の仕事であり、試験期間中のあなたに決定権はありません。そこを履き違えている。何でも自己主張すべきだと思っている人がこちらには多いのは本当に困ったことです。


 書き出すと長くなったので、明日も伝説(後編)を紹介しようと思います。



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