今回もややクラシックな作品。文庫で発刊されたのは2001年ですが、正確には分かりませんが1980年代の作品とか。
しかし、トランプ政権が誕生したことで、アメリカではリバイバルヒットしているとの報道を聞きまして、どんな内容かと買ってみました。
マーガレット・アトウッド著 「侍女の物語」
近未来のアメリカが舞台です。詳しくは書かれていませんが、どうやら戦争に巻き込まれて「アメリカ合衆国」という国は既に崩壊。「ギレアデ共和国」という国に代わっています。
戦争による特殊兵器や、環境問題などの影響もあるのでしょうか、この国では子供を産める女性がほとんどいなくなり、出産経験のある女性が「侍女」として国の指導者層の「司令官」と言われる人間に仕え、ただただ妊娠をすることを求められている・・・という何ともゾッとする話です。
前回の「沈黙」でも同じような感想を持ちましたが、現在の私たちが享受できている「自由」というのは、本当に微妙なバランスの上で成り立っているということを実感します。
国として危機が訪れれば、国を維持するためにトップの人間は、これまでにない施策を展開し、現状の打開に動きます。それがいい方向に向かえば問題はないのでしょうが、時としてそれは個人の自由を抑制したり、権利を制限することも十分あり得る話です。
つい先日も、日本で「共謀罪」が成立しました。これだって、ある側面から見れば国にとって必要な措置なのですが、別の側面からは国民の自由を制限される可能性がある、と議論になりましたよね。
このように徐々に制度が代わり、新たな規制が増えていくと、私たち国民も徐々に慣らされてしまいます。「ギレアデ共和国」でも、いきなり「侍女」の制度ができたわけじゃないでしょう(そんなことをいきなり導入したら一揆が起きますよ)。
でも、いわゆる「茹でガエル」の例えじゃありませんが、徐々に変化するものに対して、私たちは意外に鈍感です。で、知らないうちに取り返しのつかないことになっているのかもしれません。
そんな怖さを感じる作品でした。
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侍女の物語
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書名:侍女の物語
著者:マーガレット・アトウッド
出版元:ハヤカワepi文庫
初版:2001年10月
紹介文(文庫本裏表紙より)
ギレアデ共和国の侍女オブフレッド。彼女の役目はただひとつ、配属先の邸宅の主である司令官の子を産むことだ。しかし彼女は夫と幼い娘と暮らしていた時代、仕事や財産を持っていた昔を忘れることができない。監視と処刑の恐怖に怯えながら逃亡の道を探る彼女の生活に、ある日希望の光がさしこむが……。自由を奪われた近未来社会でもがく人々を描く、カナダ総督文学賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作。解説/落合恵子

