今回はかなりクラシックな作品です。
文庫化されたのは昭和56年ですから、結構古い作品だなと思っておりましたら、何と作品化されたのは昭和41年3月。何と今から51年前の作品です。
しかし名作はやはり年を経ても色褪せないものです![]()
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遠藤周作氏の名作「沈黙」です。
この作品は写真でもお分かりの通り、今年1月にマーティン・スコセッシ監督がメガホンを取って映画化されたことでも有名ですよね。
舞台は江戸時代。島原の乱の後の長崎です。島原の乱によりキリシタンが迫害を受ける中、ポルトガルから日本に布教のために来ていたフェレイラ教父が、「穴吊り」という拷問を受けて棄教を誓ったという情報がローマ教会にもたらされます。
その情報を信じられないセバスチャン・ロドリゴ司教は、真偽を確かめるため、仲間二人と共に日本に渡ることを決意します。
しかしそこで待っていたのは、彼らの想像を遥かに超える厳しい現実だったのです。
当時の日本にとって、キリスト教の教えは、武士が農民を統制するには都合が悪かった時代です。考えてみれば、わが国でも「信教の自由」が保障されたのは戦後の「日本国憲法」の施行から。つまり70年ほどしか経っていないわけです。
いや、「信教の自由」以外にも、「表現の自由」など、現在の私たちが当たり前のように享受できている様々な権利も、同じく戦後から僅か70年しか保障されていないというのが現実です。
人間の歴史は有史以来4,000年以上、古代文明は10,000年以上前に既にあったという説もありますから、70年というのは人間社会が形成されて僅か1パーセントの時間もないということですよね。
私たちの祖先、とは言ってもおそらくは祖父や祖母の時代までは、このように自由が制限される時代を生きてこられているわけです。
そう考えると、今のこの自由を享受できる時代だって、いつ元に戻るかも分かりません。ましてや日本以外の他国では、まだ現実問題として「自由」が著しく制限されている国だって多いんです。万が一、そういう国に日本が征服されないという可能性はありませんよね。![]()
そんな時、私は「自由」のために、この小説の司祭のように闘えるのでしょうか。
そんなことを問われている作品のようにも感じました。
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書名:沈黙
著者:遠藤周作
出版元:新潮文庫
初版:昭和56年10月
紹介文(文庫本裏表紙より)
島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。


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